よく噛むことのメリットはこれだけある!

子供の頃から「ちゃんと噛んで食べましょう」「よく噛みましょう」と言われてきた方もたくさんいるのではないでしょうか?

「よく噛むことは体にいい」ことや「ダイエット効果がある」などテレビや雑誌などのメディアを通じて取り上げられているので興味がある方もたくさんいらっしゃると思います。

そこで今回はよく噛むことってどういう効果があるのか、歯科衛生士として現場で言われている事をお伝えしていきたいと思います。

この記事のポイント

  • よく噛むことで得られる効果
  • 何回噛むのが理想的?
  • よく噛むのに効果的な食べ物
目次

よく噛むことで得られる効果は?

ダイエット効果

噛む回数が増えれば食事の時間が長くなり、ゆっくりと食事をしているうちに血糖値が高まり「お腹がいっぱいだ」と感じ食欲を抑制する事ができます。

よく噛む事により満腹中枢が刺激され、あまり噛まずに食事を摂るよりも食べすぎ予防になります。

自然とカロリーが抑えられた食事になり、無理せずダイエットする事ができメタボリックシンドローム予防になります。

成人期における効果

口臭予防になる

口臭予防の一番は、口腔内をきれいにすることです。食事をよく噛む事により、唾液の分泌を促進させると口腔内の乾燥を改善させたり、唾液の洗浄効果(自浄作用)により口腔内を洗い流す効果があります。ガム等も同じ効果が期待できますが、糖が入っているものは長時間噛み続けると虫歯などの弊害がでてしまうため、おすすめできません。

虫歯、歯周病予防になる

よく噛む事により分泌される唾液の作用には様々なものがあります。

・細菌の殺菌や発育抑制効果がある分泌成分
免疫グロブリン、リゾチーム、唾液ペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、ヒスタチン、分泌型IgAなど

・歯質保護作用
唾液のたんぱく質や糖たんぱく質は歯の表面に保護する膜(ペリクル)を形成し、細菌の分泌する酸から歯を守る効果があります。

緩衝(かんしょう)作用
通常口腔内は中性(pH7)前後に保たれています。

食事をとると、口腔内のpHが酸性に傾き歯の表面が脱灰(虫歯の初期症状)しはじめます。ですが、唾液の成分の重炭酸塩などが関与しpHを中性に戻そうと働き(緩衝作用)が起きます。

・再石灰化
酸などによって歯の表面が脱灰したところに、カルシウムイオンやリン酸イオンが再沈着して再石灰化を促進させます。

食事をおいしくする

唾液の成分には唾液アミラーゼという食べ物を消化する酵素があります。

唾液アミラーゼはデンプンを分解し、糖にしてくれます。お米などのデンプンをよく噛んで糖に分解することにより、より甘くおいしく食事を楽しめます。

小児期における効果

顎の発育促進

小児期において、よく噛む事で顎の発育を助けます。これは永久歯に生え変わった後の歯並びに関係します。

小さな顎に永久歯の大きな歯が並びきらないとガタガタの歯並び(叢生(そうせい))になりやすく八重歯の目立つ見た目の悪い歯並びになる可能性があがります。

よく噛むことで、顎の発育を促し歯並びを少しでもよくする可能性を高める事ができます。

虫歯予防になる

まだまだ仕上げ磨きが必要なお子様や、思春期を迎えつつあるお子様なかなか思うようにブラッシングができず困っていらっしゃる保護者の方たくさんいらっしゃると思います。

やはり歯垢を落とすには歯ブラシによって機械的に刺激を与えるのが一番なのですが、よく噛む事によって唾液の分泌量が増えます。これによって自浄作用を促す事ができます。

高齢期におけるメリット

脳の働きをよくする

よく噛む事により脳の血流が増加し、若々しさを保つ事ができ、認知症予防にも繋がると考えられます。

健康増進

よく噛むことができないと、だんだんと食事が柔らかいものしか食べられなくなってしまいます。外食も楽しめず、周りとのコミュニケーションも取りづらくなってしまいます。体力も落ち低栄養、運動機能の低下を起こしサルコペニアの状態になる可能性があります。

この負のスパイラルを予防するためにも、よく噛み栄養を摂取し体力を保つ事が重要です。

発音をよくする

噛む事でお口周りの筋肉を鍛え、はっきり発音する事ができ様々なコミュニティに積極的に参加し日々を楽しむ事ができます。また口周りの筋肉が鍛えられていると表情も明るくみえます。

入れ歯の不具合の解消

高齢になり唾液の分泌が減ると、口の中が乾燥気味になります。特に入れ歯を使っている方は傷ができやすくなり、入れ歯でうまく噛めないなどの不具合が起きたり、入れ歯がはずれやすくなる事があります。

よく噛み唾液を分泌させる事により口腔内が潤いそういった不具合を改善させる事もできます。

「よく噛む」ために知っておきたいこと

理想的な噛む回数は一口30

理想としては一口30回が目安となります。

近頃は噛む回数をカウントしてくれる機械やスマートフォンアプリも開発されています。

咀嚼計「bitescan(バイトスキャン)」:シャープ (jp.sharp)

噛む回数を増やすコツ

噛むことは習慣づいているので、元々早食いの癖のある方の場合は意識的に回数をふやしていかないと噛む回数を増やす事は難しいかと思います。

噛む回数を増やすには、食材の選び方や調理方法が大切になってきます。

野菜などは煮るよりも生で、サイズは大きめにする。お肉もひき肉、スライス肉よりも塊肉の方が噛む回数は必然的に増えます。季節の食材を取り入れて、お食事を楽しめるように工夫してみましょう。

「よく噛む」のに効果的な食べ物は?

よく噛む事は固いものを噛むという事ではなく、噛みごたえのあるものを食事に取り入れるという事で必然的に噛む回数を増やすという事です。

噛みごたえのある食材をプラスし、野菜もなるべく繊維を壊さない切り方(繊維に沿って)をしたり、大きめにカットしたりするのも良いでしょう。

噛みごたえのあるものとしては、さきいか、たくあん、ちりめんじゃこ等。油揚げも噛みごたえをプラスするのに効果的です。

飲み込もうと思ったらあと数回噛んでみる事、飲み込んでから次の食事を口に運ぶ。水分で流し込まないようにするといった事を意識する事でも早食いを改善し噛む回数を増やす事につながります。

まとめ

歯科衛生士として保健指導を行っていると「固いものを噛まないとダメですか?」と聞かれる事がよくあるのですが、よく噛まないとダメとネガティブ思考で捉えるのではなく、「食事を楽しむ時間を増やす」とポジティブ思考で捉えてみてはいかがでしょうか。

食事を楽しむ時間を増やし、家族での会話も増え、美味しく食べて健康的になるというのもメリットのひとつです。

このようによく噛むことは、メリットがたくさんあり良いことだらけ、ダイエット効果だけでなく、今話題のアンチエイジングにも繋がり手軽に始める事もでき生活の質の向上にもつながります。ぜひ明日からの生活に取り入れてみてください。

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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