歯石取り(スケーリング)をするべきだとわかっていても、痛みが怖くてなかなか歯医者に行けないという方も多いのではないでしょうか?
たくさんの患者さんとお話をお伺いしていると、過去の歯石取りで痛い目にあい、それ以来怖いのでしていない。痛みだけではなく、血だらけになってしまってひどい目にあった、また機械音が嫌なのでなるべくやりたくない!と言われることが珍しくありません。
今回は、診療室でよくアドバイスさせていただいている歯石取りの痛みを和らげる方法を紹介しますので、参考にしてみてください。
この記事のポイント
- 歯石取りの痛みを和らげるポイントについて
- 歯石の予防法について
- クリニックの選び方について
歯石除去の痛みを和らげるポイントは?
歯肉の腫れがひいてから取ってもらう
歯石が付いているということはその部分の歯磨きが不十分だったと考えられます。
歯磨きが不十分な方の歯肉は、ほとんどのケースが腫れや赤みなどの炎症が見られます。ひどい時には痛みがひどく、歯ブラシさえもできないことがあります。
こんな時に歯石取りをしてしまうと、痛みをより強く感じてしまう可能性があります。炎症を確実に取り除くためには歯石取りが必須ですが、まずは歯垢をとり表面上の歯肉がある程度落ち着いてから行うとよいでしょう。
そうすると、歯石取り中の痛みも少なく、出血も防ぐことができます。
歯科衛生士も出血は少ないほうが、より正確に歯石を除去することができます。
歯石を溜めすぎない。
歯石は歯よりも表面に凹凸がおおく、さらに歯垢がつきやすくなります。長期間歯石を放置してしまうと量が増え、取るのも難航します。ゆえに痛みが伴うリスクがあがります。歯肉の中の複雑なところにまで歯石が付着している場合も多くなります。
歯石の量と除去する時間は比例します。
術者はできるだけ痛みが出ない除去を心がけますが、歯石は比較的まだ柔らかい時に除去すると、痛みなく除去することができるのです。
しっかり研修や経験を積んだ歯科衛生士に取ってもらう
歯科衛生士は歯石取りのプロです。プロですが、個人の力量もあります。
歯石を長期間放置していると、口の中で石灰化が進み歯石は強固に硬くこびりついてしまいます。こびりついた歯石はとても硬いので、除去にもテクニックがより必要になります
しっかりと研修や経験を積み、歯石取りに使用する道具の手入れをしっかりしている歯科衛生士は極力痛みを少なくする技術を持ち合わせています。
また、痛みに対する対応も麻酔をした方が良い場合など、的確なアドバイスをその場でしてくれます。
歯石除去の痛みの種類と対処法は?
歯が痛い場合
過度のブラッシングやブラキシズム、楔上欠損などにより歯肉が下がってしまっている場合、歯石を除去する道具がエナメルの薄い部分や象牙質が露出している部分に触れると痛むことがあり、知覚過敏がおきます。
知覚過敏は象牙質の象牙細管(ぞうげさいかん)という外の刺激を神経に伝える管が刺激を受けて痛みやシミが出ることがあります。機械を使用して痛みを感じる時には、その旨を伝えましょう。
歯肉が痛い場合
先述したとおり、歯肉の炎症が強いと歯石取りの刺激は痛みを伴います。
もしくは深い歯周ポケットの中の操作は時に術者を問わず、痛みを強く感じる時があります。
この場合は我慢せずに麻酔をしてもらい、除去してもらうのが良いでしょう。
歯石除去後の痛みの種類と対処法は?
歯石を取った後にしみる場合
大量の歯石を一気に除去した時に起こることが多いですが、歯石取りのあと、しみると訴える方がいます。
これは歯石がきれいになったことにより、一時的に起こる事で徐々に落ち着いてきます。
大抵は2~3日で落ち着きますが、硝酸カリウム製剤入りの歯磨き粉を使用するのも良いでしょう。それでもしみが強い場合は、担当の歯科医師、歯科衛生士に相談してみてください。
おすすめの歯磨き粉
歯がしみるのを防ぎながら、口臭予防や虫歯予防にも効果が期待できます。 ドラックストアでも購入することができ知覚過敏症の予防効果のある硝酸カリウム配合です。歯肉に対しても効果のある歯磨き粉があるので、日常的にもおすすめできます。
使用の際は知覚過敏がある場所から歯磨きし始めると、より効果が望めます。
販売:グラクソ・スミスクライン
商品:薬用シュミテクト 知覚過敏&歯周病ダブルケアEX
価格:783円
歯石を取った後に歯茎が痛い場合
歯石を取ったあとの歯肉は少し傷つき、出血していることもありますが、少しずつ自分の治癒力で2~3日ほどで落ち着いていきます。歯磨きはより優しく丁寧に行いましょう。
痛むからと歯みがきを怠ってしまうと、また炎症を繰り返してしまいます。
自宅での歯石の予防法は?
よく歯石が付着しているのは歯と歯の間!
歯の表面にべったりと歯石をつけている人もいますが、ぱっと見きれいに見えても意外と歯と歯の間には歯石が潜んでいます。
歯と歯の間の歯石を予防するのはデンタルフロス!
毎日の習慣として1日1回はデンタルフロスを使用して歯石になりきってないプラークのうちに汚れは除去してしまいましょう。
汚れのつきにくい環境をつくる
歯の表面がザラザラしていると汚れはつきやすくなります。
ホームケアでの歯磨き粉にハイドロキシアパタイトの製品を使用することもおすすめです。
ハイドロキシアパタイトはエナメルの成分で傷ついている歯面を修復してくれる作用があります。この作用によって歯面がツルツルになり、汚れがつきにくくなります。
販売:株式会社オーラルケア
商品;アパガードリナメル 120g
価格;3,070円
歯石除去をする歯医者選びのポイント
歯周病治療を行っているクリニック
歯石除去を歯周病治療や、歯周病予防の一環として歯周ポケット検査を行い、歯石除去を行っているクリニックは見えているところの歯石だけではなく、歯周ポケットの中の歯石も除去してくれます。(保険診療では、歯周ポケット検査が歯石取りの前に必ず必要になります)
歯石除去が1回で終わらないかもしれませんが、取り残すことなくしっかり除去できてこそ、歯周病予防ができます。
歯科衛生士がしっかり対応してくれるクリニック
歯科衛生士は予防のプロです。歯石も除去してくれますが、お口の中の状態をいかに守ることができるか提案も多くしてくれます。
担当の衛生士がいてくれれば、常に歯石の付着しやすい場所や個人的なリスク部位も把握してくれますのでいつでも口腔ケアの味方になってくれます。歯石取りの頻度なども相談してみてください。
また、痛みなく除去するために拡大鏡を使用している歯科衛生士に担当してもらいましょう。
まとめ
歯石取りの痛みの原因を知り、対処方法は分かりましたでしょうか。
ただ痛い、怖いだけでなく、毎日の歯磨きを気をつけることで痛みなく歯石を取ってもらうこともできます。
自分の歯で一生美味しく食事をするために定期的な歯科検診や歯石取りにいきましょう。