歯科専用のキシリトールガムとは市販の物となにがちがうの?と思う方も多いのではないでしょうか。
製品名やボトルの形も市販の物とほぼ同じものもありますが、実は成分や特徴などに違いがあります。また、キシリトールが配合されていれば、どんな製品でもむし歯予防に効果があるわけではありません。
今回は市販されているキシリトールガムと歯科医院で販売されているキシリトールガムの違いについて解説しますので、商品を選ぶ際の参考にしてみてください。
この記事のポイント
- キシリトールの主な効果
- 歯科医院専売のキシリトールについて
- キシリトールガムの効果的な噛み方
キシリトールガムやタブレットの市販品と歯科医院専売品違い
市販品と歯科医院専売品の違いは、甘味料にキシリトール以外の糖質が使用されているかどうかです。
歯科専売品では甘味料にキシリトールを100%使用していますので、キシリトールの効果が十分に期待できます。
市販品ではキシリトールは配合されていますが、それ以外にも糖質が入っているため、キシリトールの効果を十分に期待することができないのです。
これが市販品と歯科専売品の大きな違いです。
そもそもキシリトールってなに?
キシリトールは天然素材の甘味料
キシリトールは白樺や樫の木などを原料とした天然素材の甘味料です。
イチゴやラズベリー、プラム、カリフラワー、ほうれん草、レタスなどの果物や野菜にも微量ですが含まれています。
例えばイチゴには乾燥重量100g中に300mgほどのキシリトールが含まれています。ですが、むし歯予防に効果的な量(1日約5~10g)には満たないので、むし歯予防のためにはガムなどを活用するのがおすすめです。
(日本フィンランドむし歯予防研究会より引用)
キシリトールの甘さはお砂糖とほぼ同じ
キシリトールの甘さはお砂糖とほぼ同じですが、カロリーはお砂糖の75%程度です。(お砂糖は1gあたり4Kcalに対し、キシリトールは1gあたり2.8Kcal)
キシリトールは炭水化物の一種
キシリトールは糖アルコールと呼ばれる炭水化物の一種です。
他には糖アルコールの仲間として、ソルビトール、マンニトール、マルチトールなどがあり、これらも多くの食品に用いられています。
世界各国の長期研究でむし歯の予防効果が認められています
世界で最初の研究は1975年にすでに発表されており、その後も日本を含めて多くの研究結果が報告されています。
赤ちゃんが生まれる前、もしくは生まれてすぐに、お母さんがキシリトールガムを噛むことが、子どものむし歯を防ぐ事も証明されています。
キシリトールのように、数多くの長期にわたる研究で、むし歯の予防効果があると認められた甘味料は他にありません。
キシリトールの効果
キシリトールはむし歯の原因にならないだけでなく、むし歯の発生や進行を防ぐ効果があります。
唾液分泌の促進
キシリトールはお砂糖と同じくらい甘いため、口の中に入れると味覚が刺激され唾液の分泌が促進されます。
唾液が分泌されることにより、歯の再石灰化の促進に繋がり、歯の修復や成熟を助けます。
むし歯の原因にならない
マルチトールやソルビトールなどの糖アルコールはお口の中で若干「酸」を産生しますが、キシリトールはむし歯菌が代謝できないため、お口の中でまったく「酸」が作られません。
さらに酸の中和を促進する働きも持っています。
ミュータンス菌の活動を弱める
むし歯の原因菌であるミュータンス菌はキシリトールを代謝することができないので、酸やプラークの元(不溶性グルカン)を作ることができません。
しかし、ミュータンス菌はキシリトールを取り込んで代謝しようとし続けるので、エネルギーを得ることができず、ミュータンス菌自体が弱ってくると考えられています。
プラークの質の変化
ミュータンス菌の活動が弱まることでプラーク量が減少し、プラーク自体がサラサラになって歯の表面からはがれやすくなります。
プラークが剥がれやすくなることでブラッシングの効果が上がり、歯磨きがラクになります。
歯科専用キシリトールガム
甘味料としてキシリトールを100%使用。(90粒入り)
マスカット・アップルミント・クリアミント・オレンジ・の3味
販売:株式会社オーラルケア
商品:歯科専用キシリトールガム
価格:1381円(税込)
歯科専用キシリトールガムの特徴
甘味料としてキシリトール100%配合
キシリトール以外の甘味料は配合されていません。
歯の主成分を配合
歯の主成分であるリン酸カルシウムが配合されており、再石灰化を助けます。
歯にくっつきにくいガムベース
歯にくっつきにくいガムベースが使用されているので、矯正装置や仮歯、義歯の方にもんでいただけます。
噛む力を鍛えることができる
市販のものよりもガムベースが少し硬いので、噛む力を鍛えることができます。
むし歯予防に効果的なキシリトールガムの選び方
むし歯予防を得るためにはどんな製品が良いのか、購入する前にパッケージの成分表示の項目を確認しましょう。
キシリトールが製品に含まれている甘味料の50%以上を占めていること
糖質(炭水化物)中におけるキシリトールの割合が50%を超えていることを確認し、できるだけ高配合のものを選びましょう。
キシリトールのむし歯予防効果を得るためには、その製品のキシリトールが50%以上配合されていることが必要です。
市販されているキシリトールガムの場合、キシリトール配合と書いてあっても、微量しか配合されていない場合もあるので注意が必要です。
キシリトール以外の甘味料は低酸産生性のものを使用していること
キシリトールが配合されていても、砂糖など酸が出る甘味料が入っていては意味がありません。
「シュガーレス」表示を確認し、糖類が0gであるかの確認が大切です。
クエン酸などの酸を含んでいないもの
柑橘類などの香料が多量に含まれる場合、酸を産生する可能性があるので、配合されていないものを選びましょう。
キシリトールガムの効果的な噛み方
1日に5~10g摂取する
むし歯予防に必要なキシリトールの量は1日5~10gです。
歯科専用のキシリトールガムには、1粒につきキシリトールが1.3g含まれているので、1日4粒~8粒を目安に摂取します。
一度にたくさんより、何度かに分けて摂る
一度にたくさんより、1日の内3~4回以上に分けて摂取します。
おすすめのタイミングは食後や間食後です。朝食後・昼食後・おやつの後・夕食後・就寝前などに取ると良いでしょう。
キシリトールが100%配合されているガムであれば就寝前に摂取しても問題ありません。
食後お口の中に残った糖分や酸を唾液で洗い流すために、歯磨き前に噛むのがポイントです。
ガムは味がなくなっても5~15分噛む
噛み始めて最初に出てくる甘い味がキシリトールです。
それをすぐに飲み込んでしまわずに、お口の中に広がるように少しためながら噛むのがポイントです。
特に、100%キシリトールを甘味料に使用している場合は、味が持続しないことが多いですが、 味がなくなっても唾液の分泌を促進するために5~15分噛みましょう。
効果的にキシリトールガムを摂取し始めて2週間ほどでプラーク(歯垢)がつきづらくなり、3か月でミュータンス菌に対する効果が現れ、むし歯になりにくいお口の環境にすることができると言われています。
よくある質問
摂取量の上限はあるの?
キシリトールは1日の摂取量に制限を与えない食品として扱われています。
日本では1997年4月に、厚生省(現厚生労働省)がキシリトールを食品添加物として使用することを許可しました。実はそれ以前から、キシリトールは輸液(点滴剤)に含まれる炭水化物として10年以上使用されてきました。キシリトールは、体の中に入れる薬品としても、口から食べる食品添加物としても安全であることがわかっています。
誤って飲み込んでしまったら?
大丈夫です。
ガムは、胃や腸等の体内で消化吸収されず、便と一緒に排出されます。キシリトール以外のガムを飲み込んだ時と同様ですので、安心してください。
たくさん取りすぎると下痢する?
個人差はありますが、おなかがゆるくなる方もいます。
キシリトールは食物繊維と同じで、消化・吸収がされにくいため、腸内の水分が増える事によって下痢が起こると言われています。この現象は一過性のもので体に害はありません。
キシリトールで歯磨きの代わりになりますか?
キシリトールを摂ることでむし歯になりにくいお口の環境にすることができますが、キシリトールを食べることが歯磨きの代わりにはなりません。
キシリトールはあくまでも補助的に使う
むし歯予防には、まずはこれらの4つの基本が大切です。
それは、1歯磨き、2フッ化物の応用、3正しい食生活、4定期健診です。
キシリトールはこれらのどれかの代わりにはなることはできないですが、それぞれのむし歯予防効果をより高めることができます。
このクローバーのイラストはフィンランドの保健センターに貼られているものですが、クローバーの葉っぱの部分は、むし歯予防の4つの基本を表しています。
そしてキシリトールは茎の部分の役割にあたります。
それぞれの葉っぱを大きくするためには、茎の部分も大切な要素です。
キシリトールをうまく活用して、むし歯予防効果を高めましょう。
(日本フィンランドむし歯予防研究会より引用)
まとめ
キシリトールは歯に良いことはなんとなくご存知な方も多いと思います。だからといって、キシリトールを食べていれば虫歯にならないということはありません。
キシリトールを効果的に活用するためにも、キシリトールの正しい知識と、活用方法を知り、楽しく美味しく、虫歯予防を習慣化してみてください。