はじめて生える永久歯、6歳臼歯に起こるトラブルと対処法

お子様に初めて生えてくる永久歯(大人の歯)が、なかなか生えてこなかったり、虫歯になってしまったりすると不安になりますよね。

大人の歯として一番最初に生えてくるのが「6歳臼歯」です。

6歳臼歯は、6歳前後から生え始め、それから大人になっても生え変わることはありません。そして、6歳臼歯は最も噛む力が強く、歯並びや咬み合わせの基本となる重要な歯です。しかし、最もトラブルの多い歯とも言われています。そこで今回は、6歳臼歯について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント

  • 6歳臼歯とは6〜7歳頃に生える永久歯
  • 6歳臼歯が虫歯になりやすい理由
  • 6歳臼歯を強い歯にするために自宅でできること

目次

6歳臼歯とは

最初に生える大人の歯

6歳臼歯とは、永久歯の中でも一番最初に生える大人の歯で、「第一大臼歯」の事をいいます。

大人の歯でいうと、親知らずを除いて、奥から二番目の歯が第一大臼歯です。

6歳臼歯は乳歯の下ではなく、あごが成長しこれまで歯がなかった部位から歯が生えてきます。

6歳臼歯は大切な役割を持つ歯

6歳臼歯には、とても大切な役割があります。

それは、食べ物を噛みくだいたり、食べ物を擦り切ったりする力です。
他の歯と比べて噛みくだくが強く、食事をする際に必要な「咀嚼」(そしゃく)に大切な歯です。

また、永久歯の歯並びや噛み合わせの基本になる歯でもあります。

6歳臼歯の生える時期

6歳臼歯(第一大臼歯)は、名称の通り、6歳頃から生えてくる歯で、6歳から7歳までの間に生えるのが一般的です。

また、その後ろの歯(第二大臼歯)は11歳から12歳の頃に生えてきますので、6歳臼歯が生えてから5年も後に生えてきます。
それだけ、6歳臼歯は早くからお口の中で「噛む」ことの仕事をしていることになります。

6歳臼歯が虫歯になりやすい理由

知らない間に生えてくる

6歳臼歯は、6歳から7歳でちょうど小学校へ通うようになった頃から生え始めます。

その頃に、お子さんのお口の中の観察や仕上げ磨きをしなかったり、定期的な歯科検診を受けていない場合、知らない間に生えておりお子さんも保育者も気づいていないこともあります。

6歳臼歯は、あごが成長しこれまで歯がなかった部位から歯が生えてくるので、歯ブラシが届いていないこともあり、虫歯になりやすいです。

歯の生え変わりの時期により磨き残しが増える

6歳臼歯の生えてくる時期は、前歯も生え変わりの時期です。そのため、歯が抜けているところがあったり、歯が生えかけているところがあったりと、歯の高さがそれぞれに違っており磨き残しが増えることが原因の一つに挙げられています。

また上下の歯がかみ合うまで、噛む面の自浄作用(噛むことや唾液による洗浄作用)が期待できないため汚れが停滞しやすいこともあげられます。

歯の溝が深い

乳歯と比べて、歯の噛み合わせ部分の溝が深く、汚れが溜まりやすい形状をしています。

これまでの磨き方に加えて、歯の噛み合わせ部分をポイントで磨くことを新しく取り入れることで虫歯予防になります。

学童時期による環境変化(小学校へ入学)

6歳臼歯は、6歳から7歳ころに生えてきますが、ちょうど、小学校へ通うようになった頃でもあります。

その頃に、お子様のお口の中をきちんと観察したり、定期的な歯科検診を受けていない場合や、間食傾向にあるなど、これまでと環境が変わる時期に生えてくることもあり、虫歯になりやすいと言われています。

6歳臼歯が生えない場合の原因

埋まって出てこない埋伏歯

6歳臼歯はレントゲンでみると顎の中にあるのに、生えてこないケースがあります。 埋伏歯とは、顎の骨の中に歯が埋まっている状態です。

その場合、状態によっては、手術と矯正治療をして歯を治療的に引き出すことができます。
また、そのまま顎の中に埋まった状態で、別の被せ物の治療を行う場合もあります。

どちらにしても、歯科医院でレントゲンを撮影してもらい、説明を受けることが必要です。

もともと歯がない先天性欠如

乳歯がなかなか抜けないなどで、歯科医院で確認すると、6歳臼歯がなかったということもあります。

その場合は、被せ物(ブリッジ)や暫定的な入れ歯、インプラントなどの治療方法が考えれます。

この場合も、歯科医院で相談のうえ説明をうけることで、最善な治療計画を立ててもらうことができます。

6歳臼歯の痛みの原因と対処法

6歳臼歯が生えてくる時の痛みの原因として「放出性歯肉炎」があります。

6歳臼歯が生えてくるとき、歯の上には歯肉が覆っている状態で、の歯肉の下から少しづつ歯がはえてきます。

半年ほどかけて少しづつ生えてきますので、その間に、歯と歯茎の境目のあたりに汚れが溜まりやすくなります。
また、歯茎を押して生えてきているので、歯ブラシを当てると痛みを感じることがあります。
その期間は、汚れが溜まりやすく、磨きにくいため、汚れが残り、炎症をおこし、痛みを感じることにもつながります。

この期間が半年ほど続くので、歯と歯茎の境目には歯ブラシが届いてるか、汚れが取り除けているか保育者が確認をしてあげてください。

6歳では、完璧に歯を磨くことはまだまだ難しいです。長く使う歯だからこそ、大切にしてあげましょう。
保育者が仕上げ磨きをするのも10歳くらいまでは行うことがオススメです。歯と歯肉の間に毛先が届くように仕上げていきましょう。

6歳臼歯を強い歯にするには自宅でできること予防法

まずは正しい歯磨き

6歳臼歯を守るにはたまった汚れをきれいに取り除くことです。

6歳臼歯は噛み合わせの部分の溝が深く、汚れが溜まりやすい形をしています。

噛み合わせの部分に汚れが溜まりやすく、虫歯にもなりやすいことがわかっていますので、正しいケアを行い、6歳臼歯を守りましょう。

【仕上げ磨き】

小学生の低学年(10歳)くらいまでは仕上げ磨きをしてあげましょう。

一番虫歯になりやすいのは、歯と歯の間、歯の噛見合わせの溝、歯と歯茎の境目です。
特に、6歳臼歯の溝の部分を仕上げ磨きでチェックして、虫歯になっていないかも確認してあげましょう。コミュニケーションをとる時間として、夜寝る前の習慣にできると良いでしょう。

間食の管理

小学校に入学する6歳頃は、間食の回数も増えたり嗜好品も変化しやすい時期です。

おやつを食べてはいけないということではなく、お口の中に汚れがつきやすい、または、糖分がのこりやすい品物を控え、良く噛み、唾液がでるような硬い食材を選ぶとよいでしょう。

キャラメルやクッキー、スナック菓子などはお口の中にのこりやすいです。食べる時は時間を決めてダラダラ食べないようにして、できれば間食後にも歯磨きをして、6歳臼歯を守りましょう。

フッ素入り歯磨き粉の使用

6歳臼歯の生え始めの時期にフッ素を活用することで強い歯をつくることが言われています。

ほとんどの市販品の歯磨き粉にはフッ素が入っていますので、毎回の歯磨きの時に使いましょう。歯磨き粉は歯ブラシに3センチほど出して使うと、フッ素の効果が期待できます。

フッ素(フッ化物)について、詳しくは「予防歯科におけるフッ化物/日本と海外の活用法とその違い」

子どもの歯磨き粉について、詳しくは「子供の歯磨き粉を上手に選んで、ラクしてたのしく虫歯予防」をご覧ください。

歯科医院でできる予防法

定期的なクリーニング

歯科医院では、虫歯や歯周病を予防するために定期的なクリーニングを行っています。

特に6歳臼歯は磨きにくいため、定期的に歯科衛生士が磨きにくい汚れを取り除きます。もちろん、他の歯もきれいに磨きますので、全体の虫歯予防につながります。

また、歯周疾患実態調査の結果では、小・中学生の4割は歯肉炎であるというデータもでています。定期的なクリーニングを行うことで歯肉炎の予防にもつながります。

適切なブラッシング指導

歯の生え変わりの時期の歯磨きはとても大切ですが、磨きにくいことも言われています。

また、仕上げ磨きの習慣も継続しなくなることも多いため、自分で磨けるようにトレーニングを行うことが必要です。

無理のない、一人ひとりのお口の状態にあった歯磨き方法の指導と生え変わり時期に合った歯ブラシの紹介を行います。

フッ素塗布

歯を強くする効果があるフッ素は、歯の表面の汚れがきれいに取り除かれている時が、一番効果が期待できます。
また、生え始めの歯は成長段階のため、フッ素を取り込みやすいと言われています。

歯科医院で使うフッ素には、歯磨き粉に配合されているフッ素よりも高濃度です。
歯科衛生士によるクリーニングできれいにした後に、高濃度のフッ素を塗布することで強い歯をつくります。

6歳臼歯が生え始めた頃のおすすめ歯ブラシ

お子さまの歯列の状態に合わせて毛の硬さSMから選べます。

販売:ライオン株式会社
商品:EX kodomo12M
小学校低学年むけ(少し小さめ) ●写真右
商品:EX kodomo11M
小学校高学年むけ(普通より小さめ) ●写真左
参考価格:240
SとM2種類の毛の硬さで、Sは歯肉に刺激のすくないタイプです。Mはしっかりプラークを除去できるタイプです。
持ち手も工夫がされていて、磨きやすい歯ブラシです。

ワンタフトブラシ

販売:株式会社オーラルケア
商品:プラウト
参考価格:320

6歳臼歯のかみ合わせの溝の部分は汚れが溜まりやすいため、ポイントブラシでみがくことで汚れをきれいにとることができます。
持ち手も工夫されており、お子様にも持ちやすい形状です。
仕上げ磨きにも使用すると効果的です。

毛先を6歳臼歯の噛み合わせ部分にしっかりあて、ぐるぐると毛先を押し当てるように動かす動作を10-20回程度繰り返すときれいに磨けます。

仕上げ磨き用

販売:ライオン株式会社
商品:EXkodomo14M(仕上げ磨き用)
参考価格:240

ヘッドが小さくできており、お子さまの磨きにくい奥歯にしっかり届く仕上げ磨き専用歯ブラシです。毛束が短めに植毛されているので、汚れをしっかり落としてくれます。

まとめ

大人の歯として一番最初に生えてくる6歳臼歯の大切さが伝わったでしょうか。6歳前後に生え始め、大人になっても生え変わることはありません。大切な6歳臼歯を守るためには、生え始めが肝心です。お子さんにも自分がおじいちゃんおばあちゃんになってもずっと使う大切な歯だということを教えてあげてください。

6歳頃は、環境が変わり手の離れる時期だからこそ、コミュニケーションの一環としても、お口のチェックを欠かさない習慣を身につけることをおすすめします。
また、磨きにくい部分をサポートしてくれる歯科衛生士にも相談し、自分にあった磨き方や歯ブラシのアドバイスをもらいましょう。

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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