口臭やドライマウス予防に!唾液腺マッサージの方法と効果

なんだか口の中が乾いて話しづらい、口の中がネバネバするという経験のある方も多いのではないでしょうか。特にコロナ禍が落ち着いてマスク生活から解放された今、歯科医院での相談が増えています。

その場合、唾液の分泌が少なくなっているかもしれません。唾液はただの水分ではありません!お口の中だけではなく、全身に大切な役割を果たしています。

唾液腺マッサージは、唾液の分泌を促すことでドライマウスや口臭予防、アンチエイジングなど様々な効果があると言われています。
今回は、唾液の役割や唾液腺マッサージ効果、正しいやり方を詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

唾液の役割

唾液にはたくさんの役割があり、健康な成人では1日にペットボトル1本分約11.5リットルも分泌されます。
唾液は、お口にも体にとっても大切な役割を果たしています。

・お口の中をきれいにする(自浄作用)
・お口の中の粘膜を保護する(粘膜保護作用)
・お口の中の細菌を減らす(抗菌作用)
・歯の表面を保護する(歯質保護作用)
・初期の小さな虫歯(脱灰)を修復する(再石灰化作用)
・食べ物を飲み込みやすくし消化をよくする(潤滑、味覚作用)

このようにお口のなかだけではなく全身の健康にも大切な役割があります。

唾液の分泌チェック

下記の項目で、当てはまることがある方は、唾液の量が少ないかもしれません。
まずは、当てはまる症状があるかチェックしてみましょう。

□ お口が渇く
□ お口をあけるとなんだか臭う
□ 食べ物を飲み込むときに水分がないと飲み込みにくい
□ 入れ歯があたり傷が痛む
□ 口内炎が出来やすい
□ 舌や頬の内側が痛むことがある
□ 食べ物の味がよくわからない
□ 舌の表面が白く汚れている
□ しゃべりにくい
□ 歯の表面にべったりした汚れ(プラ-ク)やステイン(着色)がつきやすい
□ 虫歯が多い
□ 歯肉炎が治りにくい

チェックが多い方は、唾液の分泌量が少ないかもしれません。唾液線マッサージを効果的に取り入れて唾液がたくさんでる環境を作りましょう。

唾液腺マッサージとは

お口の中には唾液腺という唾液をだすポイントがあります。そのポイントを刺激して唾液を出すマッサ-ジを唾液腺マッサ-ジといいます。

歯科の業界でも唾液腺を刺激すると唾液量が増加する、と論文での発表もあります。
歯科の分野だけではなく、介護現場や病院様々な場で、唾液腺マッサ-ジは 子供から成人、お年寄りに必要とされています。

唾液腺マッサージのやり方

強くマッサージせず、気持ちがいい感覚を聞きながらやさしく、少し時間をかけて行うのがポイントです。

唾液分泌は心身に深く関係する自律神経で司られています。
ふれあいや会話でのコミュニケ-ションのより心の緊張、不安もときほぐれ、リラックス効果でさらに唾液の分泌がふえることも大きな効果です。

★拾い画像です、唾液腺の場所が書いてある画像があるとわかりやすいと思います。

舌下腺

左右の手の親指を顎の下に当て下顎のくぼみラインを耳方向に向かいプッシュしていきます。
何度か繰り返していくと唾液がじゅわ~と出てくるスポットが分かります。

唾液腺マッサ-ジを行う際に、舌をスポットの位置に置くとお口周りの筋肉の過度の緊張がなくなり唾液が分泌された感じが分かります。

顎下腺

人差し指と中指で耳たぶを挟み込み、人差し指の盛り上がった部分を耳下にあてたら少し押しつけながら耳付け根から大きく耳を動かすようにクルクルまわします。

手でエラの部分を包み込むようにすると筋肉緊張も緩和されます。

耳下腺

頬骨下耳よりのくぼんだあたりに指3本をあて、そこを支点に大きく円を描くようにマッサージします。
このとき痛気持ち良い力加減でマッサージすると頬の筋肉緊張もほぐれます。

口腔内から頬をつまみ大きく回すマッサ-ジも唾液腺が刺激され効果が期待されます。

唾液腺マッサージとあわせて「ガム咬みトレ-ニング」

さらに咬むことで唾液の分泌を促進する「ガム咬みトレ-ニング」をキシリト-ルガムで行うと虫歯予防にも効果が期待できます。

100%キシリト-ル配合ガムは幅広い年齢層に方が咬むトレ-ニングが出来るよう咬み応えの固さが考えられており、また入れ歯の方でも矯正中の方でも咬めるように歯や装置、入れ歯にくっつきにくいのでおすすめします。

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唾液腺マッサージの効果

唾液腺をマッサージすることで得られる効果については、様々な良い効果が期待できます。

唾液量が増え口の中をきれいに保つ

唾液には自浄作用や抗菌作用があります。唾液が十分に出ることにより、お口の中に残っている食べカスが流れやすくなります。

お口のなかのバイ菌(虫歯菌や歯周病菌)の増殖を抑制し、またお口の中のpHを虫歯になりやすい酸性の状態から正常な状態に中和します。

また乾燥状態が続くと汚れ(プラ-ク)やステイン(着色)がこびりつきます。
べったりした汚れがついている方やステインがつきやすい方はお口の中の乾燥を気にしてみてください。

発音や食事がスムーズになる

唾液がたくさんあることで、おいしく食事を楽しめ、味をしっかり感じることができます。

また、咬んだ食べものをしっかりと飲み込むことができ、食事中の会話も弾みます。
食事にまつわる悩みを解消することができますので、食事中に飲み物が欠かせないという方にも、唾液腺マッサ-ジは効果が期待できます。

唾液が少ないと、常にお口の粘膜が乾いているので舌も動かしづらくなり、しゃべりにくくなります。さらに味を感じる器官(味蕾・みらい)まで味を運ぶ潤滑作用がなくなり味を感じにくくなります。

口臭予防

唾液腺をマッサージすることで、唾液がたくさんでるようになり、お口の中や歯の汚れをつきにくくしたり、口臭の原因となる細菌を殺菌するパワ-を持っています。

唾液の自浄作用が弱まると、お口のなかに汚れが停滞し細菌が増えたり、舌の表面の汚れ(舌苔)がこびりつき口臭の原因にもなります。

食べ物が歯の間や頬の間につまりやすい方は、舌を「べ~」と出してみてください。白く汚れが溜まっていませんか?唾液の量が少ないと、舌に汚れが残りやすくなってきます。

乾燥からくる痛みを和らげる

唾液がたくさんでることで、乾燥で粘膜同士がこすれて感じるヒリヒリ感を和らげたり、唾液の抗菌作用で口内炎や傷が治りやすくなります。

お口の中の潤いが不足すると粘膜がこすれ歯肉や頬の内側がただれたり口内炎の原因になります。また、入れ歯がうまく吸着せず当たって痛んだりします。

このような悩みも、唾液がよく出ると解消されていきます。

筋肉の緊張がほぐれ口が開きやすくなる

唾液は緊張していると分泌が少なくなります。心の状況にも深く関係していることが言われています。

唾液腺マッサ-ジをするポイントは口腔周囲筋肉(咬む筋肉)周辺なので唾液がよく出るばかりではなく、筋肉のマッサ-ジにもなります。

唾液腺マッサ-ジで、食いしばりや歯軋り、顎関節症などの筋肉症状で硬くなっているお口周りの筋肉も柔らかくなり、また筋肉がほぐれリラックスすることにより更に唾液が出やすくなるメリットもあります。

アンチエイジング

上記でも挙げたように、唾液マッサ-ジは口腔周囲筋(頬や顎の下)口腔内からも刺激をするので凝り固まってできた筋肉シワ(ほうれい線)やフェイスラインのマッサ-ジにもなります。

また唾液が出ることで舌が動かしやすくなるため、顎の下にある舌を動かす筋肉が鍛えられ顎のたるみや2重アゴがすっきりします。

唾液腺マッサージのポイント

マッサージする際には強く動かさず、気持ちがいい感覚を聞きながらやさしく、少し時間をかけてゆっくり行うのがポイントです。
不安もときほぐれ、リラックス効果でさらに唾液の分泌がふえることも大きな効果です。

自分で行う場合

自分で自分に行う場合は、状況にあわせた場面で行いましょう。
たとえば、食事の影響が気になる方は毎食事前のマッサ-ジをすることで唾液が同じ時間帯に刺激されます。

毎日行うことで、身体がその時間帯に食事モ-ドに切り替わり習慣化効果も期待できます。

介護の現場で介助者が行う場合

ご自宅で介護をされている方や施設で介護職をされていいて、介助者が行う場合には、ふれあいや会話でのコミュニケ-ションも大切にして、心の緊張、不安も解きほぐすことで、さらにリラックス効果も高まり、唾液の分泌がふえることも大きな効果です。

会話も楽しみながら焦らず無理せずにケアを行うことを心がけてください。

常に乾燥が気になる方

常にお口の中の乾燥が気になる方は水分をこまめに摂取し時間を決めたセルフマッサ-ジをお勧めします。

起床時の、お昼、入浴時、就寝前など、水分摂取、ガム咬みをセットで行うと効果が期待できます。

お肌のハリやほうれい線が気になる方

アンチエイジングでは メイク前や入浴中、気になる時に自分のタイミングでセルフマッサ-ジをお勧めします。

お口の中で舌をぐるぐる動かす舌トレ-ニングなどは唾液の分泌を促すだけではなく顎の下にある舌を動かす筋肉が鍛えられ顎のたるみや2重アゴがすっきりします。

また外側からの唾液線マッサ-ジにより筋肉の疲れ、むくみが改善され、小顔効果も期待できます。ほうれい線は唯一内側から押し出すことができる部位なのでぜひやってみてください。

指で顎の骨を挟みこみ、耳方向に向かいプッシュしながら移動していく。

その他、唾液分泌を促す口腔周囲筋のストレッチ

口腔周囲筋のストレッチは、舌で歯の表面に沿ってぐるぐる動かす「ベロまわし運動」や舌先で頬の内側を上下に動かす運動があります。

唾液分泌を促すだけではなく、舌の筋肉のトレ-ニングにもなり正しい舌の位置(スポット)から飲み込む事ができるので正しい咀嚼嚥下(咬む、飲み込む)のトレ-ニングにもなります。

正しい舌の位置(スポット)は、上の前歯の裏側の位置です。

また外側からの唾液線マッサージは副交感神経(リラックス神経)が活発になりリラックス効果で唾液の分泌も促進されます。

さらに咬む筋肉周辺をマッサージするので、筋肉の緊張硬縮を緩和し筋肉を動かしやすい状態にします。
咬めることで咬む筋肉の老化を防ぎ咀嚼筋(咬む筋肉)のトレ-ニングにもなります。

まとめ

唾液線マッサ-ジは自分で気軽に出来るケアから、歯科医師や歯科衛生士が口腔内外から行うケアまで幅広くあります。
また唾液線マッサ-ジは唾液の分泌を促すだけではなく 咬むこと・飲み込むこと・話すことなど、健康的に生きることに大きく関与し、
予防ケアと一緒にお口の乾燥をケアしていくことは健康的に生きるための大切な口腔ケアのひとつ、といってもいいでしょう。

自分の唾液量がどれくらいなのか、適量なのかは分かりにくいですが、なんとなくお口が渇く、口臭が気になる、きちんと歯磨きをしていても汚れや着色、虫歯が多いなど、少しの症状からある程度お口の乾燥状態がわかります。

最近では唾液検査を行っている歯科医院もたくさんありますので、お口の乾燥が気になる方は一度相談し予防ケアと一緒に乾燥のケアをしてみてはいかがでしょうか?

 

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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