歯周病の治療期間と費用を症状の進行別に徹底解説!

歯周病の治療を受けるにあたって、治療の期間や費用がどれくらいかかるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

歯周病とは、プラークが原因で起こる歯肉の病気です。プラークの中の歯周病菌が毒素を出し、歯を支える骨をどんどん溶かしていきます。今や歯周病は日本の国民病とも言われ、40代の約8割の人が歯周病にかかっていると言われています。

今回は歯周病の状態によっても異なる治療の期間や費用についてお伝えいたします。

この記事のポイント

  • 歯周病治療の基本的な流れがわかる
  • 歯周病の治療期間の目安がわかる
  • 歯周病の段階別症状や外科的治療についてがわかる
目次

歯周病治療の基本の流れ

歯周病は虫歯と違って痛みもなく、自覚症状があまりない病気です。日頃から歯肉の観察する癖をつけておくとよいでしょう。ですがそれでも歯周病かどうかははっきりと判定できないと思います。そのため定期的に歯医者さんでチェックしてもらう事が大切です。

ここでまず歯周病治療の基本的な流れを説明します。

プラークコントロール

プラークコントロールとは、お口の中の細菌を自身でコントロールするという事です。まず第一にプラークコントロールをする事が一番大切な治療法です。なぜならば、歯周病の主な原因はプラークだからです。

歯石は直接作用するわけではありませんが、プラークを付きやすくするものになるので、歯周病治療にはプラークの除去と歯石の除去の二つがとても重要になります。またプラークは約24時間で熟成されると言われています。そのため最低でも1日1回はしっかりとプラークをリセットする事が大切です。

プラークコントロールは歯科医院でするのではなく、お風呂に入るのと同じように、毎日自身で行うことができる治療なのです!

検査

プラークコントロールがよくなってきてから歯石除去に移ります。歯肉の状態が良くないのに歯石除去を行うと治りが遅くなり、再び歯石が付きやすくなる原因になります。そして歯石をとるには2つの検査が有効です。

・レントゲン写真
特に根っこに付いている歯石は目で見る事ができないので、精密な小さなレントゲン(10~14枚)をとる事にとってより歯石が見え、確実性も高まります。

・歯周ポケット測定
歯周ポケットを測ることによって歯周病の進行の目安がわかります。正常の歯肉でも2mm程溝はあります。歯周病の目安としては4mm以上となります。

【健康】

【歯周病】

SRP(歯石除去)

歯石には歯肉から上の歯に付いている縁上歯石と、その下の根っこの部分に付いている縁下歯石があります。特に縁下歯石は検査の情報を基に、歯石をとっていきます。

評価

一通り歯石除去が終わったら取り除きがないか、また歯肉の状態は良くなったか評価します。評価方法は歯周ポケットを測定し、ポケットの数値が低くなっていたら改善していることになります。また、歯肉の状態や炎症がないかチェックします。

その後再評価をして治療が必要なければ、メインテナンスへ移ります。

評価であまり改善が見込めなかった場合

次のステップとして歯周外科治療に移ります。

その後再評価をして必要であれば治療を続けます。改善が見込めたら、メインテナンスへ移ります。

歯周病の治療期間の目安について

歯周病の治療期間は重度によって様々ですが、だいたい2ヶ月~1年くらいかかる事もあります。

歯周病は歯を支える骨が溶かされてしまう病気で、一度溶かされた骨は元に戻る事は難しいです。また自覚症状があまりない為、放っておくと知らぬうちにどんどん進行していきます。そうならない為に早期発見・早期治療が必要です。

※保険治療は日々改定があるので料金はあくまで目安になります。

初期段階の場合

初期段階では、少し骨が下がり始めている状態です。年齢は20代~40代の方が多いです。

自覚症状がなく自分で判断するのは難しい為、歯科医院で検査する事が大事です。

※初期段階:歯がうずくような感覚・浮いたような感覚がある。

治療期間:約1~2ヶ月 来院回数4回(おおよその目安)
費  用:【1回】1,800円~2,000円程度(3割負担)
【トータル】5,000円~10,000円程度(3割負担)
【保険外】10,000円~50,000円

中期段階の場合

中期段階では、骨が半分ほど溶けてしまっている状態です。ですがしっかり歯周治療をすれば歯を残せる可能性もあります。

※中期段階:歯肉が退縮し、歯が長くなったように見える。歯が少しグラつく。

治療期間:約3ヶ月~1年 来院回数6~20回(おおよその目安)
費  用:【1回】1,800円~2,000円程度(3割負担)
【外科手術】3,000円(1部位)(3割負担)
【トータル】10,000円~50,000円程度 (3割負担)
【保険外】50,000円~500,000円

重度段階の場合

重度の歯周病になると骨が3分の1溶けてしまっている状態です。そうなると歯がグラグラしたり最終的には歯が抜け落ちてしまう事もあります。

※重度段階:グラグラして歯が抜け落ちそう。

治療期間:1年以上 (おおよその目安)
費  用:【1回】1,800円~2,000円程度   (3割負担)
【外科手術】3,000円 (1部位)   (3割負担)
【トータル】30,000円~100,000円程度 (3割負担)
【保険外】200,000円~3,000,000円

歯周病の段階別症状

歯肉炎(歯周病の手前の段階・歯周ポケットの深さ3mm以内)

歯周病は歯肉の下の歯周組織にまで炎症が及んでいる状態ですが、歯肉炎とは歯肉のみに炎症がある場合をいいます。一度壊れた歯周組織は元に戻る事は難しいですが、歯肉の炎症だけであれば元に戻る事は可能です。

歯肉炎の症状としては、歯肉が腫れたり、歯ブラシをすると出血したりします。ですが、歯肉炎と歯周病初期を見た目で判断するのは難しいため検査が必要です。

初期段階(歯周ポケットの深さ4mm以内)

初期段階ではそこまでポケットが深くないものの、歯周組織に炎症が及んでいる状態です。症状は歯肉から出血したり、腫れる事があります。また、歯周ポケットの数値が3mm以上4mm以内の場合は歯周病初期段階となります。

中期段階(歯周ポケットの深さ5~7mm以内)

中期段階では、だんだん歯肉が下がり歯が長くなったように感じます。また歯がグラグラしたり、浮いた感じがします。出血も自然にでるほど炎症があります。

重度段階(歯周ポケットの深さ8mm以上)

重度の段階では、歯を支えている骨が3分の1程度になってしまっている状態です。ここまでくると歯が強く揺れ、最終的には抜け落ちてしまします。ポケット数値も非常に高く、深いポケットが形成されています。

歯周外科治療について

フラップ手術

しっかりとしたプラークコントロールや歯石除去治療を行っても改善しない場合は歯周外科治療(フラップ手術)を行います。フラップ手術とは、歯肉にメスを入れ、歯の根っこが見えるようにめくり上げ、徹底的に歯石除去を行う治療です。

レントゲン上だけでは判断できず取りきれない場合に行うことが多いです。保険診療では1部位あたり約3000円です。自費診療では1部位あたりだいたい1万~10万円と言われています。自費診療の場合は同時に歯周組織再生療法が行われる事もあります。

歯肉切除術

歯肉切除術とは、深くなった歯周ポケットを浅くする為に歯肉切除する方法です。

歯周組織再生療法(エムドゲイン・GTR・骨移植)

歯周組織再生療法とは、歯周病で失われた骨を、人工的に再生を促す治療です。いくつか方法はありますが、代表的のものはエムドゲインとGTR法と骨移植です。歯周組織再生療法はほとんどの場合が自費診療で行われます。費用は1部位それぞれ約5万~10万円です。

再発防止には定期的なメインテナンスを!

せっかくしっかりとした歯周病治療を受けたとしてもメインテナンスを怠って再発してしまってはあまりにももったいないのではないでしょうか。歯周病は治療して終わりではなく、治療後も定期的なメインテナンスを受ける事が健康を保つキーポイントとなります。

期間は状態によって異なりますが平均的にはだいたい3ヶ月に1回です。保険のメインテナンスの場合の費用は約2000円~3000円です。自費のメインテナンスの費用は約5000円~10.000円です。

まとめ

医療はどんどん進歩をしているのになぜ歯周病は減らないのでしょうか。

それはプラークコントロールが一番の原因でもあるとも思います。その為、歯周病治療は歯科医院のみで行うのではなく、患者さん自身の協力があってこそ治療ができるのです。そして定期的にメインテナンスを受けることで、健康でいつまでも自分の歯を保つことが出来ます。

まずは手遅れになる前に歯科医院に定期健診に行ってみる事をオススメします!

 

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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