お子さんが寝ている時に歯ぎしりをしていることに気づき、体に影響がないか心配になる方も多いのではないでしょうか?
子どもが歯ぎしりをする例は実は多く、いろいろな原因があることがわかっています。
そこで今回は、子どもの歯ぎしりについて心配なく対応できるように解説をしますので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 歯ぎしりとは?歯ぎしりの種類
- 子どもの歯ぎしりの原因と対処
- 歯ぎしりが気になるときの対処法
歯ぎしりとは
歯ぎしりと言えば、一般的に睡眠中に歯と歯をこすり合わせギシギシと音を立てることを思い浮かべると思います。
しかし、歯ぎしりには睡眠時に起こる歯ぎしりと覚醒時(目を覚ましている時)に起こる歯ぎしりに分けられます。
睡眠時の歯ぎしりは無意識下で行われるため、歯ぎしりをしている本人は自覚がないことがほとんどです。
そして、意外かもしれませんが、歯ぎしりは、大人よりも子どもに多く見られ、実際は10歳までの子どもの約40%が歯ぎしりをすると言われています。赤ちゃんの頃から歯ぎしりをしているのです。
そして、歯ぎしりには4つのタイプがあります。
①クレンチング
上下の歯に力を入れてギュッと強く噛み締めているタイプです。
音はほとんど出ないため、周りの人にも気づかれないことが多いです。
本人も無意識下のため、ほとんど自覚がないのですが、顎にはかなりの力が入っています。そのため筋肉が疲労し目覚めたときに口を開けにくかったり、あごに違和感があったりします。
また、歯に強い力が集中するため、歯が割れたり欠けることがあります。
②グライディング
上下の歯を横に強くこすり合わせる歯ぎしりで、「ギリギリ」や「キリキリ」という音がします。
一般的に歯ぎしりというと、このグランディングを指す場合が多いです。そして、音がでるため、周りの人から指摘されることも多いです。
グランディングタイプは動く範囲が広いため、長く続くと歯が全体的にすり減ってしまいます。
③タッピング
小刻みに上下の歯がぶつかりあっているタイプで、「カチカチ」や「カンカン」という音がします。グランディングやクレンチングに比べると、発生率が少ないといわれています。
④混合型
これらの3つのタイプのうち、どれか1つだけを行っている「単独型」の人と、2つ以上のタイプを同時に、または違う時間に行っている「混合型」の人がいます。
子どもの歯ぎしりの原因と対処
子どもの歯ぎしりは、基本的には歯や骨格など、体の成長に伴うものがほとんどです。
精神的なストレスが原因で子どもが歯ぎしりをすることもあるといわれていますが、因果関係は明確ではありません。
成長期におこる
歯ぎしりは上下の前歯が生え始めた赤ちゃんの時期から見られます。
哺乳時の顎の動きと噛む時の顎の動きは違うため、下顎が安定し、噛む時にちょうど良い位置を見つける必要があります。そこで、本来あるべき場所を探す行動として歯ぎしりをするとされています。
赤ちゃんの歯ぎしりは歯の感覚を覚えたり、歯や顎が成長している証拠とも言えます。つまり、大人の歯ぎしりと違って、子どもの歯ぎしりは成長の過程として現れるものがほとんどなので心配することはありません。
乳歯が生えそろう2歳くらいまでは、経過を見守ってあげましょう。定期健診の際に、歯科医師に相談して診てもらうのも良いでしょう。
かみ合わせの調整
もう少し成長すると、今度は顎が大きくなるにつれて歯と歯の間に隙間が生じてきます。
このような咬み合わせの変化を自分で調節しようとして、歯ぎしりをするといわれています。
また、顎が大きくなることに伴う歯並びの変化に、最初は筋肉が順応できないため歯ぎしりを行なって顎や筋肉の発達を促して鍛える役割もあります。
ですから、この時期の歯ぎしりは成長に即した正常な反応だと考えてよいでしょう。成長とともに症状が改善されるケースが多いです。
ストレス
保育園や幼稚園に通い始めて、生活環境が大きく変化した場合に歯ぎしりが始まることもあります。
ママと一緒にいたいのに離れなくてはいけない、あるいは、弟や妹が生まれてママを取られたと思っている、など。
このような精神的なストレスによって、眠りが浅くなっていたり、悪夢を見たりすることで、睡眠時の歯ぎしりが起きます。
この場合には、心のケアやリラックスさせてあげる事が必要かもしれません。ストレスに悩むのは大人だけと思いがちですが、子どもが抱える悩みや不安は少なくありません。
睡眠時の歯ぎしりが長く続くようなら、子どもの生活環境や交友関係などを経過観察してみてください。
歯ぎしりが長く続いている
乳幼児期の歯ぎしりは、あまり心配する必要はありません。
逆に、歯ぎしりを全くしない子は噛む力が足りず、顎の発達が進んでいないことが心配される場合もあります。食事の際、いつまでも口の中にもぐもぐと食べ物を入れているなどの症状がある場合は、注意深く観察されるといいでしょう。
今後永久歯が生えるスペースができているのか仕上げ磨きの時に注意して観察し、定期検診で歯科医師に相談してみてください。
歯並びの問題
永久歯がそろい始めた中学生、高校生になっても歯ぎしりに変化がなく、ずっと続けている場合は注意が必要です。
歯並びの異常、あごの位置の不安定さ、精神的なストレスなどが影響している可能性があります。
また、睡眠中の歯ぎしりだけでなく、日中にグッと力を入れて噛みしめる・食いしばるといった仕草をしていたりする場合も注意しましょう。このような行動を続けていると、歯の摩耗や破損、噛み合わせがうまく合わないなどの二次障害を招く可能性があります。
特に頬杖をついている場合は、姿勢の改善をしてください。また、寝る向きを横向きやうつぶせで寝ていると、顎の位置の異常に繋がることもありますので、よく観察してみてください。
【悪習慣の癖の例】
頬杖をつく
日中の食いしばり
乳歯と永久歯のバランス
乳歯と永久歯の生え変わりの時期にも噛み合わせがアンバランスになるため、歯ぎしりをすることがあります。
4歳から12歳頃の子どもは、乳歯から永久歯へ生え替わりの時期に歯ぎしりをすることによって、永久歯が生えてくるスペース作りを行います。顎や歯の成長のために行なう自然な行為ですので、この時期も特に心配する必要はないでしょう。この場合は永久歯が生えそろうにつれて歯ぎしりも徐々に無くなるのが一般的です。
子どもの歯ぎしりは、多くの場合は成長とともに無くなります。
歯ぎしりが気になる場合の対処法
子どもの歯ぎしりは、多くの場合は成長とともに無くなります。
しかし、歯ぎしりについて知れば知るほど心配になるのが親心です。
歯科医院で相談する
12歳を過ぎた後でも、まだ歯ぎしりが続いているようならば、大事な永久歯が「すり減る」「欠ける」、「顎をいためる」などが心配されますので、歯科医院に相談しましょう。
しかし、歯ぎしりを完全に無くすことは、実際の歯ぎしりのメカニズムが十分に解っていないため非常に難しいとされています。
歯科医が歯ぎしりそのものを治す治療法はありませんが、歯並びや噛み合わせの問題など、必要に応じた対処治療が行われます。どのような治療が可能か、相談しましょう。
大人の歯ぎしり対策方法(マウスピース等)の記事があるならリンクを載せるといいと思います。そこにボトックスなども関連づけられると思います。
生活環境を見直す
ストレスが原因の歯ぎしりの場合、生活環境を少し見直してみるとよいでしょう。
主に寝ているときの歯ぎしりであれば、室温や湿度は適しているか、寝苦しい態勢ではないかなど小さなことでもよいと思います。枕などの寝具も体にあっているか等、今一度確認してみてください。
歯並びを確認する
正しい歯並びで行う歯ぎしりであれば、さほど大きな影響を与えませんが、不正の歯並びだと特定の歯にかかる負担が大きくなります。
現代食は昔に比べ、ハンバーグやパスタ、パンなど柔らかいものを好んで食べることが多くなり、噛むことが少なくなってきていると言われています。幼児期によく噛まないと顎が発達せず小さいままで、歯並びに影響が出ることもあります。
歯並びが悪いと、歯ぎしりの原因になることもありますので、しっかりとよく噛んでご飯を食べることで、歯ぎしりを防止しましょう。
食事の時もよく噛んでいるかチェックし、色々な固さのものが食べられるメニューを心がけましょう。
虫歯がないか確認する
歯ぎしりによって、歯がすり減ることがあります。乳歯のほうが永久歯に比べて柔らかいため、すり減りやすいですが、生えたての永久歯も最初は柔らかく、1~2年かけて徐々に硬い歯に変わってきます。
すり減りすぎた歯は亀裂が入ったり欠けたり、欠けた場所がさらに虫歯になり穴が大きくなることもあります。
その結果しみるなどの症状があることで、口の中が気になり、歯ぎしりの引き金になる場合もあるため、虫歯がないかチェックしましょう。
まとめ
子どもの歯ぎしりのほとんどは、正常な成長過程で起こるため、放置していてもいつしか自然になくなることが多いです。基本的にはあまり心配する必要はありませんが、なかには早急な治療が必要なケースもあります。歯ぎしりはひとつのサインととらえて、迅速で適切な対応を心がけましょう。
そして、「バランス良く食事を取り、よく噛む。」これが子どもの正しい成長へとつながり、丈夫な体を作ります。保護者がしっかり食生活を見守っていきましょう!子どもたちは日々成長しています。口の中も同様です。日々の変化を見逃さないよう、よく観察してあげてください。
子どもの歯ぎしりは、成長するために起こる自然な行為と捉え、健康なお口を育んでいきましょう。