無意識のうちに奥歯に力が入ってしまう食いしばりや寝ている時の歯ぎしりの癖をどうにかしたい!と思っている方も多いのではないでしょうか。
食いしばり、歯ぎしりによるトラブルは意外に多く、いま起きているカラダの不調が実はくいしばりが原因だったということもあります。
虫歯ではないのに歯がしみたり痛みがでたり、歯茎が腫れて出血しやすくなったなどの局所的な症状がでたり、頭痛、肩こりなど全身的にも様々な影響を与えます。
今回は、食いしばり、歯ぎしりからくる症状やその治療法についてまとめます。ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- セルフチェックで食いしばりのくせがないかがわかる
- 食いしばりの原因がわかる
- 歯医者で行う治療法がわかる
食いしばりとは
食いしばりとは「クレンチング」とも呼ばれ上下の歯を無意識に噛みしめてしまう状態のことを言います。
通常リラックスしている状態では上と下の歯は当たっていません。安静時空隙と言って、リラックスしている時の上下の歯と歯の間は約2ミリ程度あいているのがベストな状態です。
また舌の位置も上の前歯の裏側あたりにあります。
食いしばりの癖がないかセルフチェック
食いしばりや歯ぎしりは、無意識のときに癖づいてしまう場合が多くあります。意識して自分の状態を観察してみてください。
以下の項目に2つ以上当てはまっていたら、食いしばりや歯ぎしりをしている恐れがありますので要注意です。
▫️ 朝起きた時に顎が疲れている感じがする
▫️ 朝起きた時に歯が浮いているような感じがする
▫️ 寝ている時、歯ぎしりをしていると指摘されたことがある
▫️ 気がつくと歯を食いしばっていることがある
▫️ 歯があたる頬の内側の部分に白い線がある
▫️ 舌の先端や脇の部分がでこぼこになっている
頬の内側の歯が当たる部分に白い線がある(咬合線)
食いしばりがあるとお口の中は陰圧になるため歯の跡がついてしまいます。
白い線のようなものが頬の内側にみられます。
舌の先端や周囲がでこぼこになっている
鏡で舌を見てみると舌の先や脇の部分に歯の跡がついてる事があります。
これは歯の圧痕と呼ばれ咬合線と同様に食いしばる事による圧力やお口の中が陰圧になることにより歯の跡がついている状態です。その他、舌がむくんでいる時にも痕がつきやすいと言われています。
食いしばりの原因
歯の食いしばりや歯ぎしりの主な原因は、ストレスや緊張と言われています。
その他、かみ合わせの異常や歯並び、寝ている時の枕の高さにも原因があるとも言われています。
また食いしばりをした方が力を入れやすいために力仕事やスポーツなどの際は、食いしばって仕事をしている状態になります。瞬発的に歯にかかる力は200~300㎏とも言われています。
緊張や集中する場面
とても緊張する場面に遭遇したり、嫌な事が起きたり、何かに集中している時など口の周りが緊張する事によって食いしばりをしています。
また精神的な要因がある場合は睡眠中にも食いしばり、歯ぎしりをしています。
ストレス
対人関係などストレスによって食いしばりをしてしまう場面が多くみられます。
ストレスがかかると交換神経が優位に働きます。逆にストレスの緩和のために食いしばりをしているという見方もあるようです。
食いしばりによって起こる全身の症状
局所的なものから全身の症状まで、食いしばりの影響によって様々な症状が引き起こされます。
口腔内の症状
■詰め物が割れる
普段の食生活で歯にかかる力は男性約50~60㎏、女性約45~50㎏です。
歯に持続的に力がかかることによって、詰め物や被せ物が割れたりすることがあります。
■頬や舌に圧痕がつく
くいしばりをしているお口の中は頬に白い線がついたり、舌にでこぼこの跡がついたりします。
■歯が割れる、欠ける
詰め物が割れるのと同様に歯が欠けたり、割れたりすることもあります。
強い力によって歯がすり減り、歯の成長線に沿ってヒビが入り、最終的には割れてしまう事もあります。
■歯の根が割れる(歯根破折)
歯が割れるのと同様に根の部分(歯根)が割れることがあります。
特に神経の治療を抜いた歯に起こりやすいと言われます。
歯の神経を抜いた歯は栄養がいかず、乾燥状態になりもろくなります。
■歯がグラグラする
食いしばりや歯ぎしりで歯を支えている骨(歯槽骨)に力がかかる事により、骨が破壊され歯がグラグラと動揺してしまいます。
■歯がすり減る
食いしばりに加え歯ぎしりをしている場合、歯がすり減る事があります。
歯と歯の間に食物がない状態で、歯の表面のエナメル質同志がぶつかるとお互いに削れを起こして、すり減ってしまいます。
■歯が移動する
強い力が歯にかかり続けていると、矯正力がかかってしまい歯の移動を起こしてしまう事があります。
咬む力が垂直方向にかかることで歯の圧下が起こり歯が歯槽骨にめり込む状態になります。
奥歯のかみ合わせの圧下がおこると前歯に力がかかり、今度は前歯が前方に開く状態になります。(出っ歯やすきっ歯の状態)
もともと歯周病のある方は、骨(歯槽骨)が弱くなっているため歯の移動が起こりやすくなります。
■骨が隆起する
骨隆起と呼ばれ上顎や下顎など骨が力の負担により隆起します。
■知覚過敏が起こる
歯に負担がかかり続けると歯が割れたり欠けたりヒビが入ります。
歯が揺れることにより、歯の根元が欠けてエナメル質が露出すると虫歯ではないのに冷たいものがしみて痛むといった諸症状が出ます。
■歯髄炎や歯周病になる
過度な力がかかる事により歯の神経(歯髄)に炎症が起きたり(歯髄炎)、歯周病が悪化することがあります。(咬合性外傷)
■顎関節症になる
食いしばりにより顎の関節に負担がかかってしまったり、咬筋の筋肉痛など顎関節症と呼ばれる症状が現れます。
■口腔乾燥(ドライマウス)が起こる
食いしばりの影響で顎関節症を起こすと顎の間接のズレにより唾液腺が圧迫され唾液の分泌が減少してしまい口腔乾燥が起きることがあります。
■虫歯や歯周病になる
歯に力が加わり歯にヒビが入るとその部分から虫歯になりやすくなります。
歯に入ったヒビには虫歯の原因である細菌が侵入しやすくなり虫歯の起点となります。
また、もともと歯周病がある歯に対して力がかかると歯周病を悪化させてしまいます。
全身の症状
■頭痛
顎を動かす筋肉の一つである側頭筋の緊張により頭痛を起こすことがあります(緊張型頭痛)
■首や肩の凝り
日常的なくいしばりにより咬筋、側頭筋など様々な筋肉が緊張し首や肩の凝りの症状が出る場合があります。
■ほうれい線
食いしばりにより口の周りの筋肉(口輪筋)がかたまり、ほうれい線やシワが目立ってしまいます。
歯医者で行う治療法
マウスピース
歯科医院で歯の型をとり、石膏模型上でマウスピースを作製します。
歯ぎしりや食いしばりの治療で最も広く使われているのがマウスピース(ナイトガード)です。
かみ合わせの調整
かみ合わせの高さが低くなると食いしばりや歯ぎしりを助長させる場合があります。歯科医院にてかみ合わせの状態を診断してもらい必要があればかみ合わせを調整してもらいましょう。
咬筋ボツリヌス治療
歯ぎしりや食いしばりなどが原因で咬筋が必要以上に大きくなると(咬筋肥大)、 歯が欠けたり、すり減ったりで顎全体のかみ合わせのバランスが崩れ、顎関節の痛みや変形につながり、悪影響を及ぼします。
ボツリヌス治療とは、ボツリヌストキシンから抽出されるたんぱく質を咬筋に注入することで緊張をほぐす治療です。
自宅でできる予防法
意識改善法
TCHといって”Tooth Contacting Habit”(歯列接触癖)の略で、上下の歯を”持続的に” 接触させている癖のことをいいます。意識していない時は人間の上下の歯は接触していません。
上下の歯が接触している事に気づいたら意識的に離すことをしてみる方法です。
頬杖をしない
頬杖をすることにより顎がズレ、顎関節に偏った力をかけてしまいます。
横向きで寝ない
横向きで寝てしまうと仰向きの姿勢よりも顎関節に負担をかけてしまいます。
枕の高さを低くする
枕を高くしすぎると顎や首に負担をかけてしまいます。首こり、肩こりの原因にもなります。
食いしばりを意識する
まずはご自身で食いしばりを自覚することが重要です。日常生活で食いしばりをしていることに気づく事により食いしばりを予防することができます。
上下の歯を接触させていることに気づいたら意識的に離してあげたり、ストレスを感じたら深呼吸をするなどさまざまな方法があります。
よく見る場所(テレビやパソコン)などに『歯を離す』と書かれた付箋やシールを貼っておいたり、大きく深呼吸し軽くストレッチを行うとよりリラックスした状態になります。
マウスピースを使う
食いしばりや歯ぎしりは起きている時だけでなく寝ている時にもしています。
起きている時は意識することで上下の歯を離す方法で対応できますが、寝ているときは無意識の為対応ができません。
就寝中はマウスピースを入れ、無意識中の食いしばりや歯ぎしり時のクッションとして使用してみてください。
まとめ
歯科医院受診の理由として多くの方が歯の痛みや歯ぐきの症状で来院されます。虫歯や歯周病で痛みが起きている原因に食いしばりや歯ぎしりも考えられます。食いしばりや歯ぎしりによって起きる症状は様々です。
また食いしばりや歯ぎしりによって虫歯になりやすくなってしまったり、歯周病が悪化するといった悪循環となることも考えられます。
症状が悪化する前に、もしかして?と思ったら歯科医院を受診してみてください。