入れ歯安定剤には多くの種類があります。その中からどれを選べばいいの?と悩む方も多いのではないでしょうか?
基本的には、入れ歯は入れ歯安定剤を使用しないで使うものです。でも、どこかしら入れ歯の不具合があり、入れ歯安定剤を手にするということは考えられます。可能であれば、まずは歯科医院で調整してもらうことをお勧めします。しかし、様々な理由でどうしても歯科医院に行くことができず、とりあえずなんとかしたいという場合には入れ歯安定剤の選択もあります。
そこで今回は入れ歯安定剤の種類やそれぞれの特徴、お手入れ方法について紹介します。入れ歯安定剤は一時的ではありますが、メリットやデメリットもありますので、正しく使用することで不具合を軽減することもできます。
この記事のポイント
- 入れ歯安定剤とは何かがわかる
- 入れ歯安定剤の種類と特徴がわかる
- 入れ歯安定剤を使用するメリット・デメリットがわかる
入れ歯安定剤とは
入れ歯安定剤とは入れ歯が当たって痛い、ガタつく、落ちてくる、ズレる・・・などの症状に対し使用するものです。歯茎に密着させることで、顎全体で入れ歯を安定させ、症状を和らげる事ができます。
しかし、入れ歯は使用するお一人お一人に型を取って作るオーダーメイドです。自分以外の人は使用できません。入れ歯の素材も残っている歯の数もそれぞれですから不具合の症状も人それぞれとなります。入れ歯の種類や症状に合わせて適したものを選んでみてください。
入れ歯安定剤の種類と特徴
入れ歯安定剤には4つのタイプがあります。製品によっては透明のものや、歯茎と同じようにピンク色に色をつけてあるものが販売されています。また食事の味や香りをさまたげない、無味無臭の安定剤も出ています。
お勧めは歯科医院を受診するまでの一時的な使用ならレジン(プラスチック)床・金属床のどちらにでも使用でき、操作の簡単なクリームタイプやパウダータイプが良いでしょう。
入れ歯安定剤の種類は下記のようにいろいろなものがあります。
・クリームタイプ
・パウダータイプ
・シートタイプ
・クッションタイプ
・テープタイプ
クリームタイプ
・クリームタイプの安定剤は粘着性が高く、小さな食べ物がつまって痛いという方に適しています。
・クリーム状で柔らかく伸ばしやすいうえに安定感があります。
・使用する際には入れ歯の清掃をしたのち、水分を取り除きます。乾いた状態で適量を数か所に塗布します。そのまま入れ歯をいれて、押さえます。
・お手入れがややベタベタするので、洗浄など扱いが困難な場合がある。
新ポリグリップ 無添加
販売元:アース製薬
商品名:新ポリグリップ 無添加
価格 :75g・約1200円
タフグリップクッションピンク
販売元:小林製薬
商品名:タフグリップクリーム
価格 :65g・約1400円
パウダータイプ
・パウダータイプは唾液などの水分を含んで粘着性を発揮し、違和感少なく入れ歯を安定させます。
・厚みがでにくく、少しの入れ歯のぐらつきに最適です。
・薄くつくので、違和感が少ないです。
・使用後のお手入れが楽で、汚れが落としやすいので、清潔に使用できます。
・使用する際には入れ歯の清掃をしたのち、湿ったままの入れ歯にパウダーをふりかけます。
新ファストン
販売元:myer
商品名:新ファストン
価格 : 25g・約1200円
ポリグリップ®パウダー無添加
販売元:HALEON
商品名: ポリグリップパウダー無添加
価格 :50g・約500円
シートタイプ
・使用する際に水が必要です。
・携帯に便利です。
・取り付けや取り外しが簡単です。
シーボンド 上歯用/下歯用
販売元:エーザイ株式会社
商品名:シーボンド
価格 :18枚 円(上歯用/下歯用)約4000円
クッションタイプ
・クッション性のものは入れ歯が歯ぐきにあたる時の痛みを和らげてくれます。
・2〜3日連続で使用が可能です。
・使用する際には入れ歯の清掃をしたのち、水分を取り除きます。
・均等にクッションが広がらない場合があり、そのまま使用していると噛み合わせや顎が悪くなる可能性があります。
・連続使用により、材質が劣化して不潔になり、粘膜に炎症がおこることもあります。
・金属床に使用することができません。
デンチャーメイト クッション
販売元:デンチャーメイト
商品名:デンチャーメイトクッション
価格 :12g 約900円
テープタイプ
販売元:シオノギ
商品名:タッチコレクトⅡ
価格 :100枚 約14000円
入れ歯安定剤を使用するメリット・デメリット
メリット
・入れ歯が外れにくくなります。
・入れ歯のガタつきを防ぎ、歯茎の痛みを少なくしてくれるので、食事や会話の時の支障を軽減できます。
・入れ歯と歯茎の間に物がはさまりづらくなります。
・入れ歯の不適合を一時的に補うことができます。
・高年齢や疾病のため唾液分泌が低下している症状で、入れ歯の維持の補助として使用できます。
デメリット
・不均等な圧力がかかるために歯茎が痩せてしまうことがあります。
・噛み合わせの高さが変わり、違和感がでてきます。
・噛み合わせに影響を与えてしまい、顎の関節を痛めてしまうことがあります。
・入れ歯安定剤を使用する事で不具合は解消できません。そもそも入れ歯が合ってない状態が考えられます。
入れ歯安定剤はあくまでも応急処置としてとらえてください。
・入れ歯安定剤が入れ歯にこびりついてしまい、清掃が困難になることがあります。汚れが原因で、歯や歯茎の病気につながることも考えられます。
使用後のお手入れ方法
・毎日のお手入れが大事です。できれば食事などをした後は入れ歯を外して専用のブラシで汚れを落としていただくことが基本です。
・入れ歯と粘膜の間に安定剤を流し込んでいるので、食事の後そのままにしておくと雑菌が繁殖をしてしまいます。ニオイのもとにもなりますし、さらには菌によって歯茎に炎症を起こしてしまう場合もあります。
・洗浄時は入れ歯にくっついてしまっている入れ歯安定剤はしっかり取り除き、入れ歯洗浄剤を使用し、科学的な洗浄をすると良いでしょう。
・熱湯(煮沸)消毒は入れ歯が変形していますので、絶対にやめてください。
使用にあたっての注意点
・入れ歯はレジン(プラスチック)床、金属床などの種類があり、入れ歯安定剤の材質が使用できないものもありますので、ご自分の入れ歯の材質を理解した上で使用してください。
・入れ歯安定剤を使用して一時的に症状が痛みや違和感が軽減しても、入れ歯が合わなくなる原因として入れ歯と顎の骨、粘膜面、そして噛み合わせに問題がある可能性がありますので、自己判断で長期間使用せずに必ず歯科医師の診察を受けてください。
・部分入れ歯を使用している方は入れ歯安定剤を安易に使用するのはおすすめしません。なぜならば残存している歯に影響を与える可能性もあるからです。あとご自身で入れ歯のバネを曲げたり、動かさないでください。ヤスリなどで削ってしまうのも厳禁です。入れ歯が不安定になる原因を歯科医院で診てもらい、歯科医師の指導のもとで使用するようにしてください。
まとめ
入れ歯の不調のために一時的ならともかく、自己判断で入れ歯安定剤を長期間使用してしまうと口の中だけでなく、顎の骨、嚙み合わせのバランスも崩れてしまうと全身への影響もでてきます。
入れ歯を入れている時に痛みがある、外れる、グラグラする、噛みづらい、話しづらいなど入れ歯があわないと思ったら、入れ歯安定剤に頼るよりも、まずは歯科医師に相談することをおすすめします。