毎日ちゃんと歯磨きをしているつもりなのに、虫歯ができてしまったという方も多いのではないでしょうか。虫歯ができてしまう原因の一つとして、自己流の間違えた磨き方をしてしまっているかもしれません。
歯の磨き方はひとつではなく大人と子供でも異なりますし、お口の状態や歯肉の状態、 歯並びなどによっても様々で、自分に合った正しい磨き方で歯磨きすることが、虫歯予防の一番の近道です。
そこで今回は、お口の状態別に最適な歯の磨き方について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- お口の状態に合ったいろいろな歯磨きの方法がわかる
- 歯ブラシの選び方がわかる
- 歯磨きをしないとどうなるか、が具体的にわかる
症状やお口の状態にあった歯の磨き方
水平法(横磨き)
操作が簡単で汚れがきれいに取れる磨き方です。
【こんな方に】
幼児、臼歯の噛み合わせ、細かい操作が困難な方
【歯ブラシの選び方】
毛の硬さは、SかMの柔らかめからふつう
【磨き方の手順】
step1.毛先を歯に対して直角にあてて水平報告に往復する動かし方を行います。
step2.奥歯も同じように直角にあてて前後に動かします。
step3.噛み合わせも歯ブラシを水平に動かし、書き出すように動かします。
【注意点】
歯の間までは届きにくい磨き方なので、歯間ブラシなどを併用する必要があります。
強く磨いたり、硬い歯ブラシで磨き続けると、歯肉の退縮が起こったり、知覚過敏症になる場合もあるので、シャカシャカ音が鳴らないくらい細かい動きでみがきましょう。
スクラッビング法
操作が簡単で、歯肉の境目、歯と歯の間、噛み合わせなどの汚れをきれいにとりのぞける磨き方で、一般的に用いられる磨き方です。
【こんな方に】
歯肉が健康な方
または軽い炎症のある方
歯列不正のある方
矯正治療中の方
【歯ブラシの選び方】
毛の硬さは、SかMの柔らかめからふつう
【磨き方の手順】
step1.毛先を歯面に直角にあてて、同時に歯肉に近い部分まで毛先をあてて、小刻みに動かします。
step2.奥歯は歯ブラシを斜めに入れて1本ずつ磨きていきます。
step3.前歯の裏側は歯ブラシを縦に入れてかかと部分で1歯づつ磨いていきます。
【注意点】
歯ブラシの動かし方が大きくなると効果が軽減しますので、小刻みに動かすように意識しましょう。
1本ずつ たて磨き法
時間はかかりますが、歯と歯の間の汚れをきれいに取り除くことができる磨き方です。
永久歯生えたてのお子さんの歯磨き練習におすすめです。
【こんな方に】
歯列不正の方
歯が倒れている方
歯と歯の間の隙間のある方
軽度の歯肉炎の方
【歯ブラシの選び方】
毛の硬さは、SかMの柔らかめからふつう
炎症がある場合は柔らかめの毛を選択します
歯ブラシは小さめのものが動かしやすいです
【磨き方の手順】
1本の歯を3面に分けて磨いていきます。
step1.歯ブラシを縦にして、できるだけ歯の平行にあてて、上下に動かします。
step2.裏側も入るところまでは1本づつ磨き、歯ブラシのかかと部分を使って丁寧に磨いていきます。
【注意点】
歯ブラシの毛先を歯の3面にあてることを意識するので、練習が必要です。
歯肉のマッサージ効果も期待できる磨き方です。
バス法
歯肉の周りの汚れが取れやすい磨き方で、歯科衛生士さんが指導する磨き方ナンバー1です。
【こんな方に】
歯肉の腫れのある方
少し出血する方
【歯ブラシの選び方】
毛の硬さは、SSかSの柔らかめをを使います。
【磨き方の手順】
step1.毛先を歯肉の方向へむけて(45度)歯肉に当てて磨きます。動かすというよりは微振動するようにします。
step2.奥歯の内側も歯ブラシを斜めにあてて、動かします。
step3.前歯は毛先を使って1本づつ縦磨きを行います。
【注意点】
歯肉に斜めに歯ブラシをあて微振動する動かし方が難しいため、誤った操作は歯肉を傷つけてしまうので、注意が必要です。
歯の面はほとんど磨けない磨き方なので、他の磨き方と併用して行う必要があります。
歯肉の炎症が軽減してきたら、歯ブラシを変え、磨き方も別の磨き方へ移行しましょう。また歯ブラシが劣化していると毛先が入らないのでこまめに交換しましょう。
フォーンズ法
短時間で大まかな汚れを落とすことができる磨き方です。
【こんな方に】
幼児や細かい操作が困難な方
【歯ブラシの選び方】
毛の硬さは、SかMの柔らかめからふつう
【磨き方の手順】
step1.奥歯を磨く時は上下同時に磨く方法で、毛先を歯面に直角にあてて上下の歯に当たるように円を描きながら磨いていきます。
step2.奥歯の内側は円を描く磨き方はできないため、歯ブラシを斜めにあてて前後に動かします。
【注意点】
歯と歯の間の細かな部分には歯ブラシが届かないため、歯間ブラシやフロスを併用する必要があります。
歯肉のマッサージ効果も期待できますが、強い力で歯磨きをすると、歯肉の退縮の原因にもなりますので、力加減と歯ブラシ選びに注意が必要です。
ローリング法
歯の根の部分がでている方には、向いていない磨き方です。
【こんな方に】
比較的健康な歯肉の方
細かい操作が困難な方
【歯ブラシの選び方】
毛の硬さは、SかMの柔らかめからふつう
【磨き方の手順】
step1.毛先を歯肉の方へ向けて、歯ブラシの脇腹あたりを歯面にあてます。歯ブラシの脇の辺りを使用して回転させる動かし方で磨いていきます。
step2.前歯の裏側も同様に歯ブラシの毛先を歯肉の方へ当て、回転するように動かして磨きます。
【注意点】
操作は比較的簡単ですが、歯と歯の間の汚れは取り除けないため、歯間ブラシとフロスの併用が必要です。
硬い歯ブラシで力を入れて動かすと歯肉を傷つけてしまう可能性があるので、注意が必要です。
歯ブラシの選び方
歯ブラシの選び方は、一般的には大きすぎないものを選ぶことが言われていますが、ご自身のお口の状態に合ったものを選択することが一番よいでしょう。
そのためには、歯科医院で歯科衛生士にお口状態を確認してもらい、適正な歯ブラシを選んでもらうのが一番です。
歯ブラシには、ヘッドの大きさ、毛の硬さ、毛の形状などさまざまな種類があります。
迷ったら、歯科医院で相談してみてください。
歯ブラシの選び方については「歯科衛生士が選ぶ!おすすめ歯ブラシと選び方を目的別に解説」をご覧ください。
歯間ブラシやフロスと併用
歯ブラシだけでしっかりと汚れを取り除ける場合と、そうでない場合があります。
歯と歯の間に食べ物が挟まりやすい方や歯の間が空いている方、歯の被せ物が多い方などは、歯間ブラシやフロスを一緒に使うことで、効率よく汚れを取り除くことができます。
歯間ブラシの効果について、詳しくは「こんなに差がつく!歯垢除去に最適な歯間ブラシの効果」をご覧ください。
デンタルフロスの選び方について、詳しくは「もう迷わない!おすすめのデンタルフロスと選び方」をご覧ください。
歯磨きのタイミング
歯磨きのタイミングは理想的には食後すぐの歯磨きをお勧めしています。唾液の緩衝作用から30分置いた方がよいといわれる説もありますが、「食べたら磨く」を習慣づけるのが基本です。
すぐに歯を磨けない場合は、うがいをするなどして、できるだけ食後のケアを心がけましょう。
歯磨きのタイミングについて、詳しくは「歯科衛生士が教える!食後の歯磨きはすぐ?30分以上後?」をご覧ください。
歯磨きの時間
歯磨きの時間は結論から言えば5分程度ですが、時間よりも、きちんと磨けていることが大切です。
同じ場所ばかり5分間磨いていたら、お口全体的には汚れが残っている状態になります。
歯の面を全て磨いていくと、結果的に5分程度かかるということを理解しておおよその目安として時間を考えてみてください。
歯磨きをしないとどうなるか
歯磨きをしていないと、8時間ほどで細菌が繁殖していき、48時間後には細菌同士がくっつき、自分たちの住みやすい環境を作り出します。そして、それらの細菌が虫歯の原因となる酸を出し、虫歯のきっかけを作っていきます。
その後、3〜5日ほど、歯磨きをしない状態が続くと、歯肉の中で細菌が繁殖しやすい環境になり、歯周病の原因となる細菌が増殖していきます。細菌が増殖していくと、歯肉の腫れや出血、または口臭の原因にもなります。
歯磨きをしないことで、虫歯、歯肉の炎症、歯周病、口臭とお口にまつわる病気が進んでいくことがわかっています。
まとめ
いかがでしたか?
歯の磨き方にもさまざまな方法があります。歯の磨き方は、ずっと同じ磨き方なのではなく、歯肉の状態やお口の状態の変化に合わせて磨き方も変わっていきますので、かかりつけの医院で歯科衛生士から今のあなたにあった磨き方のアドバイスをもらうといいでしょう。
長く、歯科医院へ通院していない方は、これを機に歯科医院で歯磨き方法の確認をしてもらい、今の自分にあった磨き方で、お口の健康を保ちましょう。