見逃さないで!乳歯の生え始めに見られる歯の異常

子どもの乳歯がくっついて生えてきたり、数が少なかったり多かったりすると不安に思う方も多いのではないでしょうか。

乳歯は生後6~9か月から下の前歯が生えはじめ、3歳頃で奥歯まで生えそろいます。全部で20本です。

乳歯の数や形の異常は、そう珍しいことではありませんが、状態によってそのまま様子をみていい場合といろいろな問題が起きていて治療が必要な場合がありますので、おかしいと思ったら歯科医院で診てもらいましょう。

今回は乳歯に起こる歯の異常と治療法を紹介します。ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント

  • 早く生えてくる先天歯
  • いろいろな歯のトラブルをご紹介
  • 歯のトラブルを発見したときにはすぐにクリニックへ!

目次

早く生えてくる先天歯

先天歯とは、生まれてすぐに歯が生えていたり、出生後4週間までに生えてきた歯のことをいいます。

通常乳歯は生後8ヶ月から下の前歯が生えます。それよりも早く生えてきた歯を先天歯といい、早く生えてくるということは、歯自体がまだ成長段階で生えてきますので、虫歯や歯の神経の病気(歯髄炎)を発症しやすいとも言われています。

先天歯で口を傷つける場合

早くに歯が生えると、授乳の時に下の唇を傷つけることがあります。傷が深くなるようでしたら、抜歯などの処置が必要になりますが、症状がない場合は、そのまま様子を見ることが多いです。また授乳する母側は、ニップルシールドなどで乳頭を保護する必要があります。

ぐらぐらしている場合

早くに生えてくる分、歯も未成熟なため、生えてもぐらぐらと動いている場合があります。
ぐらぐらしている状態にもよりますが、間違って飲み込んでしまうと大変危険ですので、気になる場合は早めに歯科医院を受診をしましょう。

歯が小さい矮小歯

歯の平均的な大きさを基準とした際に、それよりも異常に小さい歯のことをいいます。

上顎側切歯(前から2番目)や第三大臼歯(親知らず)、過剰歯で現れることがあります。上顎側切歯は円錐歯、第三大臼歯は蕾状歯となることが多いです。

乳歯にもあらわれることがあり、上下顎乳側切歯に多く、下顎では乳側切歯と乳犬歯が両方とも栓状の矮小歯となることがやや多く見られます。

前歯なので大人になると、見ためが気になり治療する人も多いです。

埋まって出てこない埋伏歯

第三大臼歯や犬歯が生えてくる時期が過ぎても、歯の全部または一部が、歯肉の下またはあごの骨のなかに埋まって出てこない状態の歯のことをいいます。

【治療法】

第三大臼歯(親知らず)の埋伏歯は、噛み合わせや周囲の歯に悪い影響をあたえる場合には主に抜歯が選択されます。

しかし、骨の深い位置に埋伏している場合は経過観察をする場合もあります。また犬歯の埋伏歯は歯の一部を出して、矯正治療で正しい位置に生やす治療を行うこともあります。

歯が多い過剰歯

歯の種類によって決まっている数以上に存在する歯のことを言います。

最も多いのは、上顎の正中にできる正中過剰歯です。この他にも、大きさや形から見た目で過剰歯とわかるものが一般的ですが、稀に普通の歯とほぼ同じ大きさや形態を持ちどれが過剰歯かわからない場合があります。

【治療法】

曲がってはえていたり、他の歯を圧迫して歯並びを悪くする原因となることが多いのでこの場合には抜歯をすることがあります。しかし正常にかえていて他の歯への悪影響が無い場合はそのまま様子をみます。

歯と歯がくっついている癒着歯(癒合歯)、双生歯

隣接する歯の元になる胚が発育途中でくっつき癒合して象牙質を含めて一体化した歯のことをいいます。

癒合歯、癒着歯は接触した歯胚の発育段階の差によるもので、癒合歯のほうがより早い時期に接触した歯です。

また、もともと1個の歯の元になる胚に亀裂が入り、その結果、癒合歯と同じような形態になった歯のことを双生歯といいます。

生えてこない欠損歯

歯の元になる胚が作られないために、本来生えてくるはずの歯がないことをいいます。

永久歯がないため乳歯が残ってたり、歯と歯の間に隙間ができるために歯並びが悪くなることもあります。第二小臼歯や側切歯、第三大臼歯にみられます。また、すべての歯がない場合は無歯症といいます。

乳歯は生後6~9か月ころから下の前歯がはえはじめ、3歳で奥歯まで生えそろいます。全部で20本です。

形が大きい巨大歯

歯の形態異常の一つです。人の歯の平均的な大きさを基準とした際に、それよりも異常に大きい歯のことをいいます。

上顎中切歯や上顎側切歯、上顎犬歯 下顎中切歯、第一大臼歯過剰歯にみられ前歯部に多く現れます。乳歯ではほとんどありません。

まとめ

子どもの歯を仕上げ磨きしていて、気になる歯があったらお近くの歯科医院に検診に行ってみてください。

状況によっては次に生えてくる永久歯に悪影響をあたえ、かみ合わせに問題が起きて健康な歯を失うこともあります。

過剰歯や欠損歯など小児矯正をすることで永久歯の生え変わりもうまく進めることができますし、見た目に問題がある場合も治療で治すことができますのでカウンセリングなど受けてみてください。

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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