パパ・ママが知って安心!乳歯、永久歯を虫歯にしない知識

大切な子どもの歯は、大事にしたいものですよね。乳歯は大体生後6ヶ月ごろになると下の前歯が生えてきます。そして小学生に上がるころには、永久歯に生え変わります。

「歯医者が苦手…」「虫歯治療で苦労した」そんな嫌な思いを持っている親は、子どもに歯で悩んで欲しくないものですよね。

全てではありませんが、ぜひ保育者の大人に知ってほしい気をつけたいことや歯が生えてきたら焦らずにできること、虫歯予防などについてまとめてみました。参考にしてください。

この記事のポイント

  • 乳歯・永久歯が生えてくる時期を知ろう
  • 乳歯と永久歯の違い
  • 子どもを虫歯から守るために必要なこと

目次

乳歯、永久歯の生えてくる時期

乳歯

乳歯は、生後6ヶ月ごろに下の前歯がはえ出し(6~8ヶ月の個人差はあります)、続いて乳切歯、乳臼歯がはえます。

2歳半ごろに上顎第2乳臼歯がはえ、3歳頃までに乳歯列が完成します。生えた後、10年も経たないうちに脱落し、後続永久歯へと交換していきます。

乳歯は上下合わせて20本はえてきます。

乳歯の数や形の異常は、そう珍しいことではありませんが不安に思ったら歯科医院で診てもらいましょう。
詳しくは「見逃さないで!乳歯の生え始めに見られる歯の異常」をご覧ください。

6か月 1歳 1歳半 3歳ごろ

 

永久歯

永久歯は、6歳頃に下の前歯(下顎中切歯)が放出し少し遅れて、下顎第2乳臼歯の後ろに下顎第1臼歯(6歳臼歯)がはえ始め、12歳頃に上顎第2臼歯が放出して永久歯列が完成していきます。

永久歯は上下合わせて28本はえてきます(親知らずは除く)。

生え変わりの時期や順番について詳しくは「不安を解消!乳歯の生え変わり時期や順番の正しい知識」をご覧ください。

乳歯、永久歯が作られる時期

乳歯

乳歯は胎生6週ごろから、乳歯の元となるものが作られ始めます。

永久歯

胎生3ヶ月半ごろになると、永久歯の元にとなるものが作られ始めます。

乳歯も永久歯も赤ちゃんがお腹の中にいる時に作られ始めます。この頃から赤ちゃんの虫歯予防が始まります。

詳しくは「赤ちゃんのためにも!妊娠中の早お口のトラブルとケア」をご覧ください。

乳歯と永久歯の違い

本数と大きさ

乳歯は20本、永久歯は28~32本

一般的に乳歯は永久歯より小さいのが特徴です。

厚み

乳歯のエナメル質、象牙質の厚みは永久歯の半分程度と言われています。

歯髄腔(神経や血管が入っている空間)

永久歯に比べると広く形成されています。(レントゲンで確認します)

乳歯の虫歯の進行は、厚みや歯髄腔の大きさからみて、永久歯に比べて早く神経に到達してしまうことがわかります。そのため、乳歯の虫歯には注意が必要なのです。

乳歯と永久歯の見分け方

乳歯が生え揃い、永久歯が生え始めると乳歯と永久歯が両方存在する「混合歯列期」になります。しかし見慣れていなとどの歯が乳歯で永久歯なのかわかりにくいですが、特徴を掴めば見分けがつきます。

乳歯は、青みがかった白色をしています。

永久歯は、クリーム色に似た白色をしています。

乳歯は永久歯に比べて、大きさが小さく、長さも短いです。

奥歯は乳歯の前歯(乳前歯)は正方形のような形で、奥歯(乳臼歯)は前後に大きな長方形のような形をしています。

永久歯は前歯、小臼歯共に大きな長方形の形をしております。ただし、いずれも個人差があります。

生える場所

永久歯は乳歯の抜けたところの他に、生えていた乳歯の奥からも生えてきます。

乳歯が生える前に準備するもの

個人差はありますが、乳歯が生え始める時期は生後6か月から8か月頃です。

まずはブラッシングよりも口周りを触れるトレーニング、スキンシップから始めましょう。

清潔なガーゼを使いますが、嫌がるようなら太い綿棒で拭うことから始めましょう。

ガーゼ

清潔な歯磨き用ガーゼを用意しましょう。最近はキシリトールが配合されている歯磨きシートも販売されています。

ガーゼ以外のもの

ガーゼ以外にもお口の中に歯ブラシと入れるトレーニングや歯固めを目的として、ゴム製のブラシもあります。

怪我や事故を予防するため、飾りが少ないもの、喉付き防止プレート付きのものなど安心安全に使えるものを選びましょう

親子で乳歯ケア 歯みがきナップ

1枚ずつ滅菌個包装になっており赤ちゃんの歯の汚れをメッシュのデコボコがやさしく拭き取る、ウェットタイプの歯みがきナップです。

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歯みがきシート ベビー

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歯磨き嫌いにさせない乳歯の磨き方

湿らせたガーゼでマッサージ

子供のお口の周りはとても敏感!いきなり歯ブラシでゴシゴシすると拒絶反応を起こし、歯磨きが嫌いになってしまうことも・・・。

できたら歯が生え始める前からお口のマッサージから始めて、触られることに慣れていきましょう!

清潔なガーゼを人差し指に巻いてお口の中を触ります。

詳しくは「赤ちゃんの歯磨きはガーゼから/磨き方と注意すべきこと」をご覧ください。

短い時間で磨く

口の中に残った食べカスや菌の塊(歯垢/プラーク)を取ることが本来の目的ですが、歯を磨くことに慣れてもらうことが一番の目的。

スキンシップの一環として、1日1回機嫌の良いときに行いましょう!

無理にやらない

哺乳の時期のお口の周りはとても敏感です。まずは赤ちゃん自身以外の人に触られることに慣れてもらうように、お口の周りを触るスキンシップを兼ねたトレーニングから始めましょう!

詳しくは、「赤ちゃんが歯磨きを嫌がる/悪化せず好きにするための方法」をご覧ください。

上下の前歯が生えたら本格歯磨きのスタート

1歳くらいになると、上下の前歯が4本ずつ生え揃ってきたら歯ブラシを使った本格的な口腔ケアを習慣化させていきます。

詳しくは「いつから?どのように?赤ちゃんの歯磨きを成長順に徹底解説」をご覧ください。

乳歯用歯ブラシを使う

乳歯は永久歯に比べて小さく、口も小さいので1歳前後の乳歯用歯ブラシは一般的にブラシ部分が小さく、毛の長さも短いものが磨きやすいです。

仕上げ磨き用は大人が持ちやすいように持ち手の長いものがオススメ。

市販のものなら、乳歯期用や年齢にあったものを選びましょう。また歯科医院ではお子さんの年齢を伝えればそれを考慮した歯ブラシを選んでもらえます。

詳しくは「赤ちゃんにはじめての歯ブラシ!選び方と注意点」をご覧ください。

歯磨きを楽しんでもらう

歯を磨かなきゃ!と無理やり押さえつけて磨くと、嫌なことをされてると思ってしまい苦手意識が強くなってしまいます。

歯を磨くこと=気持ちのいいことと思ってもらえるように、声かけや歌を歌うなどの演出も大事です。歯磨きの本を読んであげるのも効果的です。

でも最も大事なのは、周りの大人が楽しそうに歯磨きをすること!子供は大人の真似をして大きくなります。一緒に楽しく磨くことで習慣化していきます。

情動の発達について

ある刺激に対して生じる一時的な感情の動きを情動といい、恐怖、驚き、悲しみ、喜びなどが含まれます。

生後2~3ヶ月で快・不快の情動の文化が現れ、6ヶ月で不快が分化して怒り、嫌忌、恐れなどが現れます。1歳では快が分化して得意と愛情が現れ、5歳で成人と同じ情動の形態になります。

生後6ヶ月頃から現れる感情が「恐れ」。危険を予知するときに生じる感情で、恐れの対象は年齢とともに変化し、2歳までは大きな音などの聴覚刺激、暗闇などの視覚刺激です。3~5歳までは主に視覚刺激に対して恐怖を抱き、6歳以降になると想像する事象、おばけ、死などが対象になります。

歯磨きが始まる頃に怒り、嫌忌、恐れなどが現れるので、上手に付き合う必要がありますね。

「解説」ブリッジスは乳児の観察を元に図のように感情が分化していくと考えました。例えば、不快から不快への敵対反応である怒りが分化し、次に不快を回避しようとする嫌悪が分化する。

さらに不快が回避できないと経験を通して恐れが分化すると考えられています。

永久歯の磨き方(6歳臼歯)

6歳臼歯とは(永久歯)

6歳臼歯とは、永久歯の中でも一番最初に生える大人の歯で、「第一大臼歯」の事をいいます。6歳頃に一番奥の乳歯のさらに後ろから生えてくるので6歳臼歯と呼ばれています。

大人の歯でいうと、親知らずを除いて、奥から二番目の歯が第一大臼歯です。

この歯は、歯並びや噛み合わせの基本となり、食事をするのに必要な「咀嚼(そしゃく)」に大切な歯です。

6歳臼歯の磨き方

6歳臼歯は噛み合わせの部分の溝が深く、汚れが溜まりやすい形をしています

噛み合わせの部分に汚れが溜まりやすく、虫歯にもなりやすいことがわかっていますので、正しいケアを行い、6歳臼歯を守りましょう。

仕上げ磨き

一番虫歯になりやすいのは、歯と歯の間、歯の嚙み合わせの溝、歯と歯肉の境目です。

特に、6歳臼歯の溝の部分を仕上げ磨きでチェックして、虫歯になっていないかも確認してあげましょう。コミュニケーションをとる時間として、夜寝る前の習慣にできると良いでしょう。

混合歯列がつづく小学校4年生ごろまでは保育者の仕上げ磨きが必要と言われています。

間食の管理

小学校に入学する6歳頃は、間食の回数も増えたり嗜好品も変化しやすい時期です。

おやつを食べてはいけないということではなく、お口の中に汚れがつきやすい、または、糖分がのこりやすい品物を控え、よく噛み、唾液がでるような硬い食材を選ぶとよいでしょう。

キャラメルやクッキー、スナック菓子などはお口の中にのこりやすいです。食べる時は時間を決めてダラダラ食べないようにして、できれば間食後にも歯磨きをしましょう。

フッ素入り歯磨き粉を使う

6歳臼歯の生え始めの時期にフッ素を活用することで強い歯をつくることが言われています。

6歳臼歯について詳しくは「はじめて生える永久歯、6歳臼歯に起こるトラブルと対処法」をご覧ください。

虫歯のリスクが高まる時期を知ろう

虫歯になりやすい時期を「感染の窓」と言います。

第一次感染の窓

虫歯菌は歯が生えてくる生後6ヶ月ごろから感染が見られます。ちょうど離乳食が始まる時期ですね。

最も虫歯菌に感染しやすいのが、生後19ヶ月(1歳7ヶ月)から31ヶ月(2歳7ヶ月)の第1乳臼歯の萌出から第2乳臼歯の萌出ぐらいに良い菌が定着してくれれば虫歯になりにくいのですが、悪い菌(虫歯菌)が定着するとその後虫歯になりやすくなるといわれています。

第二次感染の窓

6歳ごろの第一大臼歯が放出してくる頃が再び虫歯になりやすい頃です。

特に生え変わるのではなく、乳歯のさらに奥からはえてくる第一大臼歯は完全にはえきれるまで高さが低く、溝も深いので食べかすがたまりやすく、磨きにくいです。

また、どの歯にも言えることなのですが、生えたての歯は柔らかくしっかり硬くなるまで3年かかると言われています。

永久歯への変換終了まで仕上げ磨きをしながらお口の中の状況確認が必要です。

子供に虫歯をつくらないために大切なこと

子供も歯を虫歯から守るために、一番大切なことは、家族全体で虫歯予防を心がけるということです。虫歯は一人ひとり意識すれば予防できる病気です。

保育者のお口の中を清潔にする

虫歯は虫歯菌が原因の感染症です。子供と接する大人が自分のお口の中のリスク(虫歯だけでなく、歯周病も)を熟知した上で接すれば感染は最小限に抑えられます。

歯科医院では、虫歯のリスク検査をしてくれるところも増えてきているので、これを機に自分のリスクを知ってみるのはいかがでしょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。
「赤ちゃんに虫歯をうつさないために知っておくべき4つのこと」

歯科医院で専門家のアドバイスをもらう

歯の生え変わりの時期の歯磨きはとても大切ですが、磨きにくく難しいと言われています。

また、仕上げ磨きの習慣も継続しなくなることも多いため、自分で磨けるようにトレーニングを行うことが必要です。

無理のない、一人ひとりのお口の成長にあった歯磨き方法の指導と生え変わり時期に合った歯ブラシを選択してみてください。

※ただし、感染を恐れてスキンシップまで避けるというのはこどもの情緒教育上デメリット が大きすぎます。感染に対して神経質になり過ぎるのではなく、ママを含めたご家族の口腔内の菌の数を減らしより良い菌の割合が高まるよう歯科医院でのプロフェッショナルケアや検診など専門家のサポートを受けましょう。ママだけでなくパパ、おじいちゃん、おばあちゃんの歯周病ケアも重要です。

まずは1日1回から

理想は1日3回毎食後に磨くことですが、まだまだ歯磨きが習慣化していなければ、1回の歯磨きでしっかり汚れを落とすのが大事。

特に就寝中は唾液の分泌が減少するので菌の繁殖がしやすいため寝る前にしっかり磨きましょう。

慣れてきたら回数を増やします。食事の他におやつを取るようになると虫歯のリスクも上がります。歯磨きの回数が増えれば菌を減らす機会を増やすことになります。

歯ブラシは2本用意

子供が自分でしっかり磨けることはとても大切なことですが、生えそろわない歯や複雑な溝、歯の裏側など全部をしっかり磨くのは難しいもの。

なおかつ磨いているようで歯ブラシを噛んでいるだけの時もあり、毛の広がった歯ブラシではしっかり磨けないので、仕上げ磨き用の歯ブラシを用意しましょう。

ちなみに、歯ブラシは消耗品です。大人も子供も月に1度は新調してください。

しっかり褒めてあげる

「あ~ん上手だね。よく見えるよ」

「上手に歯磨きできたね。ピカピカだよ」

など上手に磨けていなくても褒めてあげることで歯を磨くことを理解してもらいましょう。

歯磨き粉を使う

汚れを取るだけでなく、歯質を強化してくれるフッ素が入った歯磨き粉も使いましょう。

歯磨き粉に配合されるフッ素はフッ化ナトリウム(NaF)、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化第一スズ(SnF₂)があります。以前まで、フッ素濃度の目安は3歳頃まではNaFで500ppm、6歳頃まではNaF500ppm、MFP1000ppmの歯磨き粉を選ぶとよいとされてきました。しかし最近の学会発表にて「1000ppm~1500ppmを量を調整しながら、子どものうちから使用しても問題ない」と発表され2023年1月に指針が改定されました。
(参考文献:日本小児歯科学会 | 「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について」4学会(日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)合同の提言が発表されました。 (jspd.or.jp)

歯磨き粉と併用して、歯磨き後にフッ素入りのジェルを塗ってあげることで歯にフッ素が止まりやすく、虫歯予防になります。

よく歯科医院で、歯磨き粉は何をつかえば?と質問をいただきますが一番は子どもの好きな味を選んであげてください。

ジェルも歯科医院でサンプルをもらえたり味見させてくれることもあります。自分で歯磨き練習を始めた際には、染めだし液を使って汚れに色をつけるのも効果的です。

一番大事なのは歯ブラシで汚れを取る事なので、歯磨き粉の味で嫌で歯磨きの時間が短くなってしまうのは避けたいですね。

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その他、子供用歯磨き粉について詳しくは「【歯科衛生士がオススメ】子どもの歯磨き粉を上手に選んで、ラクして楽しく虫歯予防」をご覧ください。

デンタルフロスを使う

残念ながら歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは落ちません。

虫歯は歯と歯の間からもできます。子供でもデンタルフロス(糸ようじ)を使って磨き残しをなくしましょう。

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詳しくは「もう迷わない!おすすめデンタルフロスと選びかた」をご覧ください。

子供の歯を守るのは親の仕事

こどもは成長とともに徐々に親の手助けを必要とせず自立していきます。

少しずつできることが増えていく反面、できるから、任せても大丈夫!と放っておいていいことと、ある程度までしっかり管理しないといけないことがあります。

お口の中については特に中学、高校まではしっかり管理してあげてください。特に食事。それを食べたら虫歯になるなんて子どもはわかりません。しっかり大人が管理してあげましょう。

また、小さい頃からの歯の定期検診も大事です。虫歯がなければ気持ちのいいクリーニングのみだから通うのも大好きな子になります。

髪が伸びたら美容院に行く、の感覚で定期的に歯科を受診してチェックとクリーニングを受けてください。

まとめ

妊娠中から始まる赤ちゃんの虫歯予防。しかし、生まれてきてからでも予防はできます。

神経質にならず、安心して信頼できる歯科医師・歯科衛生士とともに子どもと大人が楽しくしっかり自分の歯とそこから生まれる体の健康を守りましょう。

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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