妊娠中に歯科検診に行った方が良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
また「妊娠中に虫歯が増えてしまった」「歯肉が腫れやすく歯ブラシをした時に出血してしまう」など感じている方も多いと思います。
妊娠中はお口の中にも変化が起こりますが、なぜ変化が起こりやすいのでしょうか?それは女性ホルモンの変化と細菌に関係があります。
今回は妊娠中の歯科検診についてお伝えしますので、妊娠期のお口の変化に悩まれる方の参考になればと思います。
※一般的な情報をお伝えいたします。お体の状態はお一人ずつ異なりますので、歯科医院に行かれる際は妊娠している旨をお伝えください。
この記事のポイント
- 妊娠中に歯科検診を受けないデメリット5つ
- 一般的な歯科検診の費用について
- 妊娠中の治療で知っておきたいこと
妊娠中の体調が安定している時期に歯科検診を受けましょう
妊娠初期(〜15週)は胎児の感受性が高い為、一般的には控えて頂いた方が良いです。
つわりも減退して体調が落ち着いてくる安定期ごろから歯科治療はお勧めします。
地域によって産前歯科検診が実施されているところもあり、日頃歯科に行く習慣がない方もこれを機に歯科に行くとよいでしょう。
また妊娠後期(28週〜)はお腹が大きくなりユニット(治療を受ける時に座る椅子)を倒す際に仰臥位性低血圧(ぎょうがいせいていけつあつ。お腹が圧迫され苦しくなったり気分が悪くなってしまう症状)を起こしてしまう恐れがあります。
妊婦が歯科検診を受けないデメリット
妊娠中は積極的な治療が難しくなります。痛みが出た際、通常の薬が服用できず痛みに悩まされる事もあります。
痛くなってから歯科医院にかかるのではなく安定期に入ったら積極的に検診を受け口腔内を整えて下さい。
妊婦によくある5つのお口のトラブル
妊娠中は通常時に比べ女性ホルモンが10倍〜1000倍に増えると言われています。これらのホルモンは口腔内にも影響を及ばします
歯肉炎になりやすい
妊娠中はホルモンの変化とプラークの存在により歯肉炎になりやすいです。(妊娠性歯肉炎)
妊娠中期〜後期にかけて症状が現れ悪化しやすくなります。
歯周病になると炎症性のサイトカインが生成されます。このサイトカインには子宮収縮物質の産生を促進させる作用があることが調べられており、まだ出産の時期ではないのに子宮収縮がおきやすくなるため早産になることが関連しているのではないかと、研究がすすんでいます。
虫歯になりやすい
妊娠初期は、つわりの影響によりブラッシングがむずかしくなります。
通常時も同じ事ですがブラッシング不足は虫歯の原因にもなります。それに加え妊娠時は、つわりにより胃酸が逆流し口の中を酸性にします。
口腔内が酸性に傾くと虫歯のリスクが上がります。結果、虫歯になりやすくなります。
妊娠時は積極的な薬の服用が難しいため、痛みに悩まされ、ストレスを感じ、母体だけではなく胎児にも影響を及ぼします。
お口のネバネバ・口臭が起きやすい
妊娠中は細菌の変化やストレスにより唾液の分泌量が減少します。唾液には自浄作用(自然に生じる殺菌、消毒効果)があるので口腔内が乾燥すると細菌が繁殖しお口のネバネバや口臭が起こります。
妊娠性エプーリスについて
妊娠時独特の症状であり上の前歯の歯肉が大きく腫れてしまう症状です。
妊娠16週前後に症状を感じやすく出産後には消失してしまうのが特徴です。
口内炎になりやすい
口内炎の原因の一つとしてはビタミン不足です。
妊娠時はしっかり栄養を取らなくてはならないですが、つわりや口腔内の変化により栄養が偏りがちになります。バランスの良い食事を心がけて下さい。
妊婦の歯科検診はどの歯科医院でも受けることが出来るの?
先ずはかかりつけの歯科医院に電話で問い合わせて下さい。
地域、自治体によってはチケットを配布していたり、定められた場所で無料の妊婦歯科検診を行っている場合があるので各自治体に確認してください。
そして検診を受ける際、必ず母子手帳を持参してください。
歯科検診の費用
住んでいる地域によっても異なりますのでどのような取り組みをしているのか、市役所または保健所で確認してみましょう。
歯科検診は保険適応で相場は3,000円から5,000円です。
自治体によって、妊婦の歯科健診費用の助成があります。治療になる場合は健康保険証を使用しての治療となります。
妊娠中の治療で知っておきたいこと
妊娠中のレントゲンは大丈夫?
歯科のX線では撮影場所が腹部から離れているので問題はないと言われています。
歯科でのレントゲン撮影での放射線被ばく線量はわずかです。
胎児に影響の出る可能性がある放射線被ばく線量に達するには、歯科のレントゲンでは約50,000回位です。
ただ、それでも心配な場合は歯科医師と良く話し合って治療を行う事をお勧めします。
妊娠中の歯の麻酔は大丈夫?
安定期に入れば積極的な歯科の治療は可能です。麻酔の量も通常の使用量であれば胎児への影響はありません。
妊娠初期や後期は麻酔を使用するような治療は積極的には行わない方がようでしょう。
まとめ
妊娠中は口腔内の細菌の変化で歯肉炎や虫歯になりやすいので、安定期に入り体調が落ち着いていたら積極的に歯科検診を受けましょう。痛くなってからでは遅いですし、母子共にストレスになります。治療も通常時と同じく受けることができる施術がほとんどです。
産後は夜間授乳など不規則な生活リズムになってしまうため、出産前に口腔内の環境を整えておくことをおすすめします。生まれてくる赤ちゃんの為にもまずは母親の口腔管理は必須です。何か疑問に思っている事や不安な事があればかかりつけの歯科医師や歯科衛生士に質問してなるべくストレスを抱え込まないようにしましょう。