子どもの虫歯予防!シーラントのメリット、デメリット、費用

子どもの永久歯(大人の歯)の奥歯の虫歯予防として、歯科医院でシーラント(小窩裂溝填(しょうかれっこうてん)塞(そく)法(ほう)を勧められたという方も多いのではないでしょうか。

シーラントとは、生え始めの奥歯の複雑な形の溝を、薄いプラスチックでコーティングしてふさぎ、大人になるまでの間に歯を虫歯から守ることを目的に行われています。

子どもは歯磨きがあまり上手にできないうえ、生えたての永久歯は未熟なため虫歯になるリスクが高いのです。
そこで今回は、シーラントとはどういうものか治療費について解説します。ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント

  • シーラントとは?
  • シーラントのメリット・デメリット
  • シーラントを行うといい時期はいつ?

目次

シーラントとは

シーラントとは、小窩裂溝填塞(しょうかれっこうてんそく)と呼ばれる、生え始めの乳歯や幼少期の永久歯の噛み合わせ面にある溝をフッ素の配合されたプラスチックの材料で覆い、虫歯から歯を守る方法です。

【シーラントの費用、治療時間】
シーラントの処置は、保険適用対象になりますので1歯につき、500~700円程度です。窓口負担がない地域では無料で受けることができます。

処置の時間は、1歯につき15分程度です。汚れが多くついていたり、複雑な形態をしている場合は30分程度時間がかかる場合もあります。

シーラントの対象となる歯

6歳臼歯

6歳臼歯とも呼ばれる永久歯(第一大臼歯)は、名前の通り6歳ごろに生え始め、一生涯使う歯です。

小学生の時期は、自分できちんと磨くことが難しく、虫歯になりやすいといわれていますので、永久歯は早めにシーラントの処置を行うことがあります。特に下の歯は食べ物がたまりやすいためリスクが上の歯より高いです。ただ萌出途中で歯肉が覆っている状態では、施術が難しい場合もあります。

6歳臼歯について、詳しくは「はじめて生える永久歯、6歳臼歯に起こるトラブルと対処法」をご覧ください。

下の小臼歯

下の小臼歯も同様です。

小臼歯の溝は小さな溝ではありますが、中に深い形態をしている場合が多いため、虫歯になりやすい時期にシーラントで歯を守ります。

小臼歯について、詳しくは「小臼歯に起こるトラブルや抜歯、矯正治療について徹底解説」をご覧ください。

中心結節歯

小臼歯には、中心結節のある場合があります。

中心結節がある歯は、虫歯になると神経の処置を行う可能性が高くなるため、早期の段階でシーラントで歯を守ることをおすすめしています。

中心結節について、詳しくは「子供にできる歯の異常!中心結節で起こりやすい症状と治療法」をご覧ください。

シーラントの効果(メリット)

シーラントの効果はしっかりとケアがされている環境で行うことで、虫歯の予防効果があることがわかっています。歯を削らず物理的に歯を予防ができるのは大きなメリットでしょう。

シーラントを行った場合とシーラントを行わなかった場合とでは、虫歯になる割合が違ったいう研究データもあります。

いずれにしても、シーラントを行うだけで虫歯にならないということではなく、その他に定期検診や適切な歯磨きが行えていることが条件となります。

また、シーラントにはシーラント剤にフッ化物が配合されているものがあります。シーラントを塗布したのちに、フッ化物だけが少しづつ放出されて、歯質の強化や虫歯予防の効果が期待されると言われています。

シーラントのデメリット

歯の溝部分にしか行えない

シーラントは歯の溝に対応する処置であり、歯と歯の間や歯と歯の境目には処置を行うことができません。

シーラントは外れることもある

シーラントをしたからといって、永久的に取れないことはありません。

材料の性質上、水分が入ってしまうと硬化や接着しにくくなってしまうため唾液の多いお子さんは取れやすい事が多いです。

処置の仕方によっては虫歯になる

シーラントを行う前に溝に残っている汚れを綺麗に取りのけていない場合は、中で虫歯になる可能性もあります。

シーラントの処置はきちんと汚れを取り除き、歯の表面をきれいにする前処置がとても大切です。

シーラントを行うタイミング(時期)

年齢

シーラントを行う年齢は、6歳臼歯と呼ばれる第1大臼歯が生えてくる、6歳頃が目安といわれています。

歯の生え始め

歯の生え始めの中でもシーラントを行うタイミングは、6歳臼歯の生え始めが目安になります。

また、その他の歯も噛み合わせの部分がでてきたら、早めにシーラントを行う場合もあります。

歯の形状

中心結節など、歯の形態が複雑だったり、噛み合わせの溝が深い場合などは歯ブラシで汚れが取り除きにくい場合があるため、形状を確認してからシーラントを行います。

上の前歯の裏側なども溝が深い場合もあり、虫歯になりやすいこともいわれています。

シーラントの方法

シーラントは歯を削ったり痛みを伴うものではないですが、奥歯の処置は簡単なものではない為お子さんの協力が必要です。そのため行う前に、お子さんに何のためにシーラントを行うのかしっかり説明してあげるとよいです。

①シーラントを行う部分を機械や歯ブラシを使用して汚れを取り除く

ここでしっかりと汚れを取り除くことがとても大切です。また、シーラントを行う際に大切なのは、処置をする歯のまわりに水分がないことです。

唾液などが処置歯につかないようにするために、防湿を行います。排唾管といわれる唾液を吸引する管を使用したり、ロール状の綿で唾液を排除します。

また、ラバーダム防湿を使用して完全に唾液が入らないようにして処置する場合もあります。

ラバーダムについて、詳しくは「根管治療を成功させるカギ!ラバーダム防湿法のメリット」をご覧ください。

出典:ティースメイト®F1取扱説明書より引用

②細かな汚れも取り除く

先端の細い器具などを用いて細かな汚れが残っていないか確認して、きちんと取り除きます。

③前処置を行う

シーラントがくっつきやすくするための前処理剤を塗ります。そして、薬を水で洗いながしてよく乾燥させ準備が完了です。

その時に、もう一度、唾液やお水が処置する歯に残っていないかをしっかり確認します。

完全に乾燥している状態で、シーラント剤を塗ることがポイントです。

④シーラント剤を塗る

シーラント剤は、ペースト状なので、歯の溝に流し込んでいきます。

多すぎず、少なすぎず、溝にきれいに流しこめることがポイントです。流し込んだ後に、余分なペーストを除去したり、均等にしたりして調整を行います。

⑤シーラント剤を固める

シーラント剤は、専用の光をあてることによって固まる素材です。

シーラントをきちんと整えたら、専用の光を20秒あてて固めます。

⑥最終チェック

シーラントがきちんと固まっているか、ムラがでていないかなどをしっかり確認して処置は終了です。

シーラントを行った後の注意点

シーラントは、一度塗布したからといって一生取れないものではありません。また、絶対に虫歯にならないというものでもありません。

大切なのは、毎日の歯磨きや正しい食生活習慣です。

処置後数日でシーラントが外れた場合はそのままにせず、処置を行った歯科医院で再度塗布してもらいましょう。

また、食事をしていて痛みや違和感があるなどの症状がでる場合もありますので、お子さんの場合は、保育者が食事の際に痛みはないか確認をしてあげると良いでしょう。

まとめ

シーラントは、歯の溝にできやすい虫歯から歯を守るための予防処置のひとつです。

特に6歳臼歯は早くから生え、長く使っていく歯なので、虫歯にならないように幼少期に守っていくことが大切です。

シーラントは、処置さえすれば虫歯にならないのではなく、適切な食生活習慣や毎日の歯ブラシ習慣があるからこそ、役に立つ補助的な処置ですので、まずは、自分にあった歯磨き方法を身につけ、定期的に虫歯予防のために歯科医院へかかることから始めましょう。

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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