歯石除去をすることになって費用が気になる…という方も多いのではないでしょうか。
日本の歯科治療では国民皆保険制度の決まりもあり歯石除去は保険適応となります。その代わり1日で行う回数や次回に行うまでの期間などが決められています。
今回は歯石除去にかかる費用について、国民皆保険制度に沿った治療の流れについて解説をしていきます。
歯石除去に通院回数がかかってしまう理由やそれぞれの費用について理解を深めていただき、安心して歯石除去に通って頂けばと思います。ぜひ参考にしてみてください。
この記事のポイント
- 歯石除去の費用がわかる
- 歯石除去の流れがわかる
- 歯石除去の重要性がわかる
そもそも歯石とは何か?
歯石とは歯に付着した汚れ(プラーク)が固まった(石灰化)もので、歯磨きでは取れない歯に石のようにこびりついた汚れです。
歯ぐきの上についたものを「歯肉縁上歯石」、歯ぐきの中に埋まっているものを「歯肉縁下歯石」といます。
歯肉縁上と歯肉縁下の歯石はそれぞれ性質が異なると言われています。
歯石除去とは
歯石除去は歯科医師、歯科衛生士が行います。
歯の表面に着いた歯石を専用の機械を使って除去する場合と、スケーラーといった器具を使い、手作業で除去する方法があります。
器具についてはこちらを参照にしてください
⇒【歯医者で行う歯石取りの器具と手順を歯科衛生士が徹底解説】
歯石除去の手順
まずはお口の全体のどのあたりに歯石がついているのか検査を行います。
さらに歯石がついている部分は歯肉炎や歯周炎になっている状態がどの程度なのかをきちんと調べる必要があるため、歯ぐきの状態の検査を行います。
また、目で診るだけでは見えない歯ぐきの中を把握するためにレントゲンを撮影して、歯ぐきの中の状態も確認する検査を行います。
- レントゲン検査
- 問診
- 歯ぐきからの出血の検査
- 歯の動揺度の検査
- 歯ぐきの溝の深さの検査
- 歯ぐきの周りの磨き残しの検査
- 歯石除去
- 診査
- ブラッシング指導
詳しくはこちらの記事をご覧ください
⇒【歯科医院でプロが行う!歯石除去の方法、手順、かかる回数】
歯石除去にかかる費用
歯石除去には、まず事前検査の費用が必要となります。その後、歯石除去を行う費用がかかります。
保険治療を行うためには、歯石がついている状態の検査、歯肉の炎症の状態や歯周病の進行の状態を診査して、それに伴い治療計画を立てて歯石除去を行なっていく流れとなります。
そのため、歯周病の状態が悪化していればいるほど、回数もかかりますし、治療費もかかることになってしまいます。
歯肉炎程度
費用合計 | 約5,000~6,000円程度(3割負担の場合) |
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1回の費用 | 約2,000円〜3,000円 |
通院回数の目安 | 2回程度 |
歯肉炎は歯周病の初期段階で、歯ぐき(歯肉)に炎症が起こっている状態です。
歯肉炎程度の状態であれば、検査費用と歯石除去費用、そして歯科衛生士による歯磨き指導料などが保険治療として適応されます。
検査と歯磨き指導と歯石除去を2回に分けて実施し、その後必ず状態が改善されているかどうかの再評価(検査)を行うため、合計3回程度の治療が必要となります。
歯周病(中等度)
費用合計 | 約5,000~9,000円程度(3割負担の場合) |
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1回の費用 | 約2,000円〜3,000円 |
通院回数の目安 | 2〜3回程度 |
費用合計:約5,000~6,000円程度(3割負担の場合)
歯周病の状態が進行している場合は、数回に分けて治療を行います。保険治療のルールとして必ず検査や指導を行うためその費用もかかります。
検査、歯石除去を行い、評価をするところまでで回数は3回かかります。
その後、さらにお口の中を6ブロックに分けて歯周ポケットの中についている歯石を除去していきます。これは時間をかけてしっかり歯石を除去することで患者さんへの負担が大きいことや、歯ぐきの治りの状態をチェックすることなど様々な理由で回数を分けて治療を行っていきます。
1回につき2,000円~3,000円程度(3割負担の場合)の治療費がかかり、最後に必ず状態が改善されているかどうかの再評価(検査)を行います。
その状態で歯ぐきが改善していれば治療は終了となります。
歯周病(重度)
費用合計 | 約6,000~12,000円程度(3割負担の場合) |
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1回の費用 | 約2,000円〜3,000円 |
通院回数の目安 | 3〜4回程度 |
歯周病の状態が重度に進行している場合は、数回に分けて治療を行います。保険治療のルールとして必ず検査や指導を行うためその費用もかかってしまいます。
治療の流れはまず中等度の歯周病の治療で行ったことと同じになります。
歯の表面に付着している歯石除去を行い評価をするところまでで3回かかりますす。
その後、お口の中を6ブロックに分けて歯周ポケットの中についている歯石を除去します。
最後に必ず状態が改善されているかどうかの再評価(検査)を行います。
その状態で治っている状態であれば治療は終了です。重度の場合は再治療が必要となります。もし改善がみられない場合は、再度、検査を行い治療や外科的治療でさらに治療を進めていきます。その場合は別途費用がかかります。
回数がかかる理由
回数がかかるのは、ある程度の時間をおいて病状が治っているのか判断するためです。
例えば、体調が悪くて内科を受診する場合、尿検査や血液検査をして原因を診断してから、薬の処方がされます。重篤な症状でない場合、病院は翌日に治ったかどうかをチェックするということはほとんどなく、2週間後や3週間後に症状の確認で診てもらうことはあるでしょう。
歯科での治療も同じで、まずは検査を行い、どの程度の歯周病の進行状態なのか診査して、治療を行います。歯石除去をした次の日に再検査をしても、歯肉がどこまで改善しているかどうかわかりません。そのため、期間を少しあけて歯肉の状態を検査するため、回数を分けて治療を行うのです。
また、お口の中を6ブロックに分けて歯周ポケットの中に付着している歯石を除去していきます。
これは時間をかけてしっかり歯石を除去することで患者さんへの負担が大きいことや、歯ぐきの改善の状態をチェックすることなど様々な理由で回数を分けて治療を行っていきます。
併せて歯磨き指導を実施するなど、歯肉の改善を図っていきます。
「6ブロック分け」
回数を減らすには?
どうしても回数を減らしたい、時間がないと言う場合もあると思います。その時は、まず歯科医師に相談してみましょう。
例えば、6回に分けるところを3回に分けてそのぶん1回の治療の時間を長くすることが可能な場合もあります。ただし、時間を長くとる分、患者さんへの負担は増えますし、治療費も2回分の費用になります。
また、予約の時間を取るため急なキャンセルなどはできないなどのいろいろな約束ごとなども出てきます。またはお口の状態によっては回数を減らすことはできない場合もありますので、まずは先生に相談してみることです。
自費の歯石除去
来院回数や治療回数を減らしたい、保険のルールに関係なく、歯周病を治したいと言う場合、自費の歯石除去を実施している医院もあります。その場合は、回数や時間などがあらかじめ決まっている場合とそうでない場合がありますので、自費の歯石除去をしている医院で相談されるといいでしょう。どちらにしても、歯石除去は歯周病の治療のための、ブラッシング指導なども含まれていますし、検査や評価も行います。
自費の歯石除去の場合は、1回15,000円~20,000円で設定している医院や、全額の歯石除去で約数万円で設定している医院など様々です。歯科医院を探す場合は、歯周病専門医がいるところを探してみるのもよいかもしれません。
まとめ
1回で歯石除去をしたいのに、やってもらえない、何度も行かなければいけない、その度に費用がかかってしまうのには保険診療のルールがあることを理解してもらえましたでしょうか?
歯科医療従事者もできるだけ来院回数や費用を抑え口腔内の健康な状態を維持してもらいたいと考えています。
そのためにも最低でも半年に1回は歯石除去を行い、回数も費用も少なく済むように定期検診の習慣をつけることをお勧めします。