歯の詰め物や被せ物でセラミックにしたらいくらかかるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
近年、保険治療適応である銀歯ではなく、金属をつかわないノンメタルにすることで口腔内全体を白くしたいという方が増えてきました。
セラミック治療にはいくつかの種類があります。まず大きく分けると治療する範囲が保険適用となるか自費(保険が適応しないもの)となるか。また、自費治療となると料金は歯科医院、地域によって異なり、相場も変わってきます。
今回は治療範囲別に各種セラミックの費用相場を紹介しますので参考にしてみてください。
この記事のポイント
- かぶせ物や差し歯の場合のお値段や特徴がわかる
- 土台(コア)の場合のお値段や特徴がわかる
- 詰め物(インレー)の場合のお値段や特徴がわかる
かぶせ物や差し歯(クラウン)の費用相場
虫歯の大きさによって最終補綴物(ほてつぶつ)は変わってきます。大きな虫歯で神経を取ってしまった歯には被せ物が必要になります。冠(クラウン)と呼ばれる人工の歯を入れます。また、以前は歯の根っこに差し込むようにして人工の歯を入れる治療法、いわゆる差し歯と言われるものもありました。差し歯は、歯の軸となるものと人工の歯が一体となったもので、取れてしまう事が多かったり、歯に対する負担も大きく根っこが割れたり、折れてしまったりする事があるので、最近はあまり主流ではありません。
クラウンの種類
メタル | CAD/CAM冠
(ハイブリッドセラミック) |
ハイブリッド前装冠 | メタルボンド | e-max | ジルコニア | |
保険適応 | ○ | 〇 | ☓ | ☓ | ☓ | ☓ |
審美性 | ☓ | ○ | △ | △ | 〇 | 〇 |
耐久性 | ○ | △ | △ | ○ | 〇 | ◎ |
金属アレルギー | △ | × | △ | △ | × | × |
料金 | 5000〜8000円 (3割負担) |
約8000~
10000円 (3割負担) |
約6~10
万円 |
約10〜18万円 | 約8〜15万円 | 約10〜20万円 |
※金属アレルギーには個人差があります。
CAD/CAM冠 | 料金:約9000円 (3割負担の場合)
ハイブリッドCAD/CAM冠とは、従来のハイブリットセラミックレジンに比べ、高度に重合されたハイブリットセラミックレジン(セラミックとプラスチック)のブロックをCAD/CAMというコンピューター制御により歯の修復物を設計・製作するシステムで削り出して作るクラウンです。2023年10月より、小臼歯のみ保険適用だったものが、全ての奥歯(大臼歯)に対しても保険適応となりました。(歯の状態で適応不可もあります)
ただしCAD/CAMNの機械を置いている歯科医院でないとできません。導入している歯科医院は現在少しずづは増えてきているようですが、機械が高額な為、これからの普及に期待がもたれています。気になる場合は直接歯科医院に問い合わせてみましょう。
ハイブリッド CAD/CAM冠のメリット
- 金属を使用しないので、金属アレルギーや、歯ぐきの黒ずみの心配がない
- 保険適応なので、安く作れる
- 硬すぎないので、かみ合う歯を傷めにくい
- 治療期間が短い
ハイブリッド CAD/CAM冠のデメリット
- 取り扱っている歯科医院が少ない
- 歯を削る量が多い
- 単色のみなので、色調はあまり良くない(透明感がない)
- オールセラミック(陶器)ではく、ハイブリッド(セラミックとプラスチック)なので、長期間の使用で徐々に変色や黒ずみを起こす
- すり減りやすく割れやすいので、かみ合わせによっては使えない
- 外れやすい
ハイブリッド前装冠 | 料金:6~10万円
ハイブリッド前装冠とは、レジン(プラスチック)にセラミックを混ぜ合わせたものを金属のフレームに貼り付けたものです。セラミックを含んでいるので保険適応のレジンよりも変色しにくく、耐久性も高くなっています
強度はオールセラミックよりはやや劣りますが、内面に金属フレームを使用することで、強度を増しクラウンやブリッジにも用いることが出来ます。ただし、内面に金属を使用すると金属アレルギーや、歯の根元に金属が透けて、歯肉が黒くなる事があります。
ハイブリット前装冠のメリット
- 見た目を白くできる
- 保険のレジンよりも強度に優れる
- 硬すぎないので、かみ合う歯を傷める事が少ない
- オールセラミックより料金が比較的安い。
- ブリッジに使用できる
ハイブリット前装冠のデメリット
- オールセラミッククラウンより色調に劣る
- オールセラミック(陶器)ではく、レジン(プラスチック)も混ざっているので、長期間の使用で徐々に変色、色あせや黒ずみを起こす
- ある程度の強度はあるが、かみ合わせによっては使えない場合がある
- ハイブリッドの部分のすり減りがある
- 保険外の治療なので、保険適応レジンより値段が高い
- 内部の金属は光を通さないので、歯本来の白い透明感を表現しにくい
- 金属アレルギー、歯茎の変色を起こす事がある
メタルボンド セラミッククラウン | 料金:10~18万円
メタボンドセラミックとは、内面の金属フレームにセラミックを焼き付けたものです。内側は金属です。表面はセラミックなので変色はありません。
内面はプレシャス系と呼ばれるアレルギーが出づらい金や白金を使用しています。
メタルボンドのメリット
- 外面はセラミックなので、ハイブリットセラミックより見た目がよい
- 内面が金属なので強度が強く、ほとんどの部位に使用できる
- ブリッジに使用できる
- セラミックの被せの中ではいちばん歴史が長く、信頼・安心できるもの
メタルボンドのデメリット
- 色調、透明性はオールセラミッククラウンより劣る(内部が金属なので、黒っぽく見える事がある)
- 将来的に歯茎が下がって、歯と歯ぐきの境目が見えてくる場合がある(金属で黒く見える事がある)
- 天然の歯より硬いため、かみ合う歯を傷めることがある
- 内面の金属の種類によっては、金属が溶け出すことによる歯茎の変色、金属アレルギーなどを引き起こす可能性もある
- 外面のセラミックが割れたり、欠ける事がある。
オール セラミッククラウン(e-max) | 料金:8~15万円
オールセラミックとは、金属を全く使用せずセラミックのみで作られたクラウンです。ニケイ酸リチウムガラスが主成分のセラミック素材です。金属アレルギーの心配もなく、天然の歯の色調に似ていて見た目も綺麗です。
オールセラミックのメリット
- 見た目が綺麗(透明感がある)
- 金属アレルギーの心配がない
- 歯茎が黒ずむ心配がない
- プラークが付きにくい
オールセラミックのデメリット
- 金額が高い
- 衝撃に弱く割れやすい
- 歯科医の技術による見た目や持ちの差が出やすい
- ブリッジなどのつながっている歯には使用できない
- 素材そのものが体質に合わない
ジルコニアフレーム オールセラミッククラウン | 料金:約10~20万円
ジルコニアとは、二酸化ジルコニウムという素材を使用したもので、従来のセラミックの3倍以上、ダイヤモンドに近い強度を誇ります。 人工ダイヤモンドと呼ばれています。強度だけでなく、曲げ強度も非常に高いため、欠けにくさ、割れにくさを兼ね備えることが可能になりました。
ジルコニアフレームオールセラミッククラウンの構造は、内側がジルコニアで外側がオールセラミックで覆われています。オールセラミックは金属を使用しない為やや強度が劣っていましたが、ジルコニアは金属のしなやかさと強度の両方を改善したクラウンとして注目されています。金属とセラミックの欠点をカバーしたものがジルコニアとも言えるでしょう。さらに、金属の3/1の軽さであるため、自然な噛み心地でもあります。
ジルコニアクラウンのメリット
- プラークが付きにくい
- 金属を使用しないので、歯や歯茎の変色、金属アレルギーなどが起こる可能性が低い
- オールセラミックより強度が高く、割れたり、欠けたりする可能性が低い(耐久性に優れている)
- 重さが軽い為、自然な噛み心地である
- 生態親和性が高い為、体に優しい材料
ジルコニアクラウンのデメリット
- 金額が高い
- 比較的歯を削る量が多くなる
- ジルコニア自体が割れることはまれだが、ジルコニアを覆っているセラミックの部分が割れることがある。
土台(コア)の費用相場
クラウンを被せる時には土台となる『コア』と呼ばれる物を立てます。家で言うならば柱や基礎の部分になります。クラウン等被せる物をいいものにしても土台がしっかりしていないと長持ちしません。コアにはいくつか種類があり、保険適応ならばレジンコアがあります。自費診療であれば、ファイバーコアが選択できます。見えない部分ではありますが、コアによっては仕上がり、見た目も変わることや、歯の維持年数に関わってくる事があります。歯科医院によって治療方法は異なる場合があるので、クラウンを被せる場合は是非コアの事も考慮して相談するのが良いでしょう。
土台の種類
レジンコア | ファイバーコア | |
保険適応 | ○ | × |
審美性 | ○ | ○ |
耐久性 | △ | ○ |
金属アレルギー | △ | × |
料金 | 約500~800円 (3割負担) |
約1~3万円 |
保険で治療できる素材
レジンコア | 約500円〜600円
金属のピン(ADポスト)をコアとしてレジンセメントで立てるポストコア(保険適応・料金:約500~600円 (3割負担)
レジンコアのメリット
- 保険適応で安価である。
- 金属のピンを入れることによって補強される。
- 比較的歯を削る量が少ない
レジンコアのデメリット
- 金属アレルギーの原因になる場合がある
- 強い力がかかると歯が割れる可能性が高い
- 再治療が困難な場合がある
- 状態によっては、適応できない場合もある
- レジンの性質の熱で膨らんだり縮んだりする事により、細菌が入りそこからまた虫歯になる事がある
自費で治療できる素材
■ ファイバーコア | 約10,000円〜30,000円
ファイバーコアのメリット
- 歯に負担がかかりづらく、歯が割れる心配が少ない
- 天然の歯と色調が似ているので、白い被せ物をかぶせて中の色が透けた場合でも目立ちにくい。
- 金属アレルギーの原因とならない
- 再治療が必要になった際の除去が比較的容易である。
ファイバーコアのデメリット
- 自費診療なので金額が高い
- レジンの性質の熱で膨らんだり縮んだりする事により、細菌が入りそこから虫歯になる事がある
- 歯の状態によっては適応できない場合がある
- 歴史が浅い
詰め物(インレー)の費用相場
クラウンを被せるほど大きくない虫歯はインレーという詰め物で修復されます。噛む面や歯と歯の間を修復する物で、奥歯や小臼歯に使用されます。
保険適応の場合は銀の詰め物(メタルインレー)になります。保険外になると、ハイブリットセラミックやオールセラミックインレーなどが選択できます。
メタルインレー | ハイブリッド インレー |
オールセラミック インレー |
|
保険適応 | ○ | × | × |
審美性 | × | ○ | ◎ |
耐久性 | ○ | ◎ | ○ |
金属アレルギー | △ | × | × |
料金 | 約2000~5000円(3割負担) 保険外約1万円~3万円 |
約4~6万円前後 | 約6~8万円前後 |
メタルインレー |料金:保険診療で約2000~5000円。自費診療で約1万円~3万円。
銀の詰め物(メタルインレー)は保険適応なので金額は安価ですが、銀色ですので見た目があまり良くはありません。ですが上の奥歯の歯などあまり見えないところでしたら、目立ちにくいです。また、強度が強いため金属自体が割れたり欠けたりすることはほとんどありません。ただし、硬度が高い為、適切に使用しないと歯が割れてしまったり、かみ合う歯を傷めてしまう事があります。
メタルインレーのメリット
- 保険適応なので安価である
- 金属なので強度がある
メタルインレーのデメリット
- 金属なので見た目が良くない
- 硬すぎるので適正に使用しないと歯自体が割れたり、欠けたりする可能性がある
- 金属アレルギーの原因になる事がある
ハイブリッドセラミックインレー |料金:約4~6万円前後
ハイブリッドセラミックインレーとは、レジン(プラスチック)にセラミックを混ぜ合わせた材料の詰め物(インレー)です。プラスチックが入っているので変色を起こす事がありますが、セラミックより柔らかい為、比較的割れにくいです。
ハイブリットセラミックインレーのメリット
- セラミックインレーより柔らかく、比較的割れにくい
- 白い詰め物なので見た目が良い
- 金属を使用しないので、金属アレルギーの原因とならない
ハイブリットセラミックインレーのデメリット
- レジン(プラスチック)が含まれている為、変色を起こしやすい
- かみ合わせが強いとすり減り、割れる事がある
- 保険外の治療なので、保険適応レジンより値段が高い
オールセラミックインレー (e-maxインレー)|料金:6~8万円前後
セラミックインレーとは、セラミック材質のみで出来た詰め物(インレー)です。変色する事もなく見た目が良いですが、硬い為、衝撃を受けやすく割れやすいというのが特徴です。
セラミックインレーのメリット
- 変色もなく見た目が綺麗
- 体に優しく、安定した材料
- 金属アレルギーの原因とならない
- プラークが付着しづらい
セラミックインレーのデメリット
- 金額が高い
- 硬い為、衝撃を受けやすく割れやすい
- 歯を削る量がメタルインレーより多い
まとめ
被せ物、被せ物の土台(コア)、詰め物には様々な種類があります。それぞれの特徴を捉え、納得のいく治療を行ってもらう事が満足度に繋がります。
どんな治療をするかによって、歯の維持年数は変わってきますので、しっかりと説明を受け、納得し、不明な点は歯科医師に相談してください。治療法は歯科医師によって異なることがあります。治療途中で他院に転院したり、その後のメンテナンスを怠ると、不適合やかみ合わせなどの問題が出てくる原因となるのでなるべく同じ歯科医師に継続して見てもらう事のおすすめします。