歯ぐきが全体的に白くなって腫れていたり、またはおできのようなものが出来ているなどの症状が出ていて不安に思う方も多いのではないでしょうか。
また痛みがある場合とない場合、部分的なのか、広範囲に広がっているのかなどで症状も原因も違います。
そのままにしておくと歯や歯ぐき、また顎の骨に影響がでてしまったり、口臭の原因や強い痛みが出ることもありますので、それぞれ原因に応じた対処が必要です。
今回は、歯茎が白くなる原因と対処法を症状ごとにまとめてみました。せひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 歯ぐきが白い原因がわかる
- 部分的に歯ぐきが白い場合の原因と対処法がわかる
- 全体的に歯ぐきが白い場合の原因と対処法がわかる
歯ぐきに白いできものが出来た場合考えられる原因
根の先に膿が溜まっているフィステル
- 歯の生えている根っこのあたりに白いできものができている
- できものが何度かできたり、なくなったりの症状を繰り返している
- できものの部分を押してみると、膿のような液体がでてくる
- できものの周囲を押すと歯や歯ぐきの周りも痛い
こんな症状の方は、
- 虫歯がかなり進行している
- 歯の神経の治療後に根の周りに細菌が繁殖して膿の袋を作っている
- 歯の根っこが破折している
- 歯周病により、歯周ポケットが深い時や入口が封鎖されている
という可能性があります。
膿は出る場所がなく、歯ぐきの側面にできものを作り、その部分から膿が出るので穴が空いています。これをフィステルといいます。
膿が出切ってしまったら穴はふさがり、また膿がたまるとできものがふくらんできます。
これを繰り返していると顎の骨が溶けていき、歯を残すことが難しくなってきます。
【対処法】
■ 投薬
歯の根の先にある膿の袋が小さい場合には、抗菌剤や抗生剤を服用することで治ることもあります。
まずは、歯科医院でレントゲンを撮影してもらい、根の周りの感染状態を確認してもらいます。
何が原因で膿が溜まっているかを必ず歯科医師の診察で確認してもらい薬は服用し、自己判断での服用は避けてください。
フィステルについて、詳しくは「放置しても治らない!歯茎のできもの、フィステルの治療法」をご覧ください。
■ 感染根管処置(根管治療)
神経がない歯の根っこにおできができているようでしたら、その歯の神経部分に細菌の感染が疑われます。歯の根の部分をもう一度消毒し直す治療を行います。
これを感染根管処置といいます。
再治療を行うことで、細菌を殺菌し無菌状態にすることができれば、白いできものはなくなり、歯を残すことは可能です。
■ 歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)
細菌感染が広がり歯にも悪影響が及んできている場合は、膿の周りの歯の根の部分を切除します。
消毒するだけでなく、感染してしまっている歯の根の端を切除して、歯を保存する方法です。
■ 歯周病治療
歯周病が進行することにより、歯周ポケットができます。その歯周ポケットが深い場合や膿を排出する入口が塞がれたりしてしまう場合にフィステルができてしまいます。歯周病治療を行います。
口内炎
歯ブラシを強く当ててしまった時や硬い食べ物で歯ぐきに傷がついた時にでる症状です。
そのほか、疲れやストレスからくるホルモンバランスが崩れることによっても、口内炎ができると言われています。また遺伝的な要因も考えられるとも言われています。
原因が特定しにくいことが多いのが口内炎ですので、なるべく傷を作らないように心がけ、体調管理に十分に気をつけることで予防することができます。
また、できてしまった口内炎の部分に歯ブラシなど刺激が当たってしまうと傷が悪化することも考えられます。できるだけ安静に過ごすことをお勧めします。
口内炎の原因について、詳しくは【ビタミン不足だけが口内炎の原因じゃない!他の原因と対処法】
口内炎の市販薬については「痛い口内炎を早く治したい!おすすめの市販薬と使い方」をご覧ください。
ブラッシングによる擦過傷
歯磨きの時に歯ブラシなどで擦り傷を歯ぐきにつけてしまうことがあります。
普段の歯ブラシで過度に力を入れている方や、毛の硬い歯ブラシを好んで使用している人、おろしたての歯ブラシでまだ毛先がなじんでいない場合に起こってしまいます。
【対処方法】
まずは、使用している歯ブラシの硬さを確認しましょう。硬めの歯ブラシを使用している場合は、柔らかめ歯ブラシに変更し、痛みがある場合は、かかりつけの歯科医院に相談してください。
正しい歯の磨き方について、詳しくは「プロが教える!正しい歯の磨き方をお口の状態別に徹底解説」をご覧ください。
全体的に白い場合考えられる原因
血行不良
できものではないけれど、全体的に歯茎が白く見える場合は血行不良がまず考えられます。
血行不良や貧血の状態だと、顔が白くなるように、歯ぐきにも同じような症状がでることがあります。体調などの変化によって症状がでる場合は、柔らかい歯ブラシや手で歯ぐきをマッサージして血行を促すことで改善されます。
何ヶ月も続いているようでしたら、他の病気も考えられますので、かかりつけの歯科医院へ相談してみてください。
口腔カンジタ症
コケのような白い膜(白苔)ができていて、拭き取ろうとすると出血する場合は、口腔カンジタ症の可能性があります。
カンジダ・アルビカンスという「かび(真菌)」によって引き起こされる口腔感染症です
この白い膜は、歯ぐきだけでなはく、舌や口角、頬などの口腔内にもできることがあります。
口腔内の常在菌であるカンジダ菌は日和見菌であり、免疫が下がっている場合に増殖しますが、健康な人の場合に発症することはほとんどないと言われます。
このカンジダ菌が増殖することにより、歯周病菌も増殖しやすくなり、結果的に口臭の原因となります。
菌交代現象といって、ステロイド薬や抗生剤を長期間内服している方は常在菌のバランスが崩れることでも発症が見られます。
心当たりがない人で似たような症状がある場合は、他の病気も考えられますので、かかりつけの歯科医院を受診しましょう。
3.その他の原因
白板症(はくばんしょう)
白板症は口腔粘膜に白いコケのようなものが付着します。白いものは口腔カンジタは剥がれ落ちますが、白板症は手や歯ブラシで擦っても取れないのが特徴です。痛みはほどんとないと言われていますが、痛みがある場合は検査を受けることをお勧めします。
白斑症の原因ははっきりしていませんが、白い部分が斑状で、びらん状になっている場合は、初期の粘膜がんや上皮内がんも疑われます。
白板症自体もがん化していくことが言われていますので、専門医の定期的な診察が必要です。
扁平苔癬(へんぺいたいせん)
扁平苔癬とは、口腔粘膜の角化性で炎症を伴う原因不明の難治性の病変です。
口腔内の舌や粘膜、また口唇にもできやすく、白いレース状、または網状のできものがみられます。
できものはびらんや潰瘍を形成し、接触痛があったり、口内に痛みや食べ物がしみるような感覚、味覚障害、出血などの症状が現れることもあります。
歯肉癌
歯肉癌は歯ぐきにできる癌です。歯肉癌は悪性腫瘍の一種なので、進行することにより、歯肉の腫れや潰瘍、歯の動揺、出血、痛みなどの症状が見られます。
リンパ節に転移した場合は、口腔の周囲にしこりが認められることもあります。
またカリフラワー状に歯ぐきが腫れ上がるような炎症を起こすなど、特徴的な形状をしている場合もありますが、歯周病や口内炎などと誤診されやすいことも事実です。
長期的に炎症が続くような症状があれば、痛みがなくても、歯科医院を受診することをおすすめします。
まとめ
歯ぐきが白くなっていたり、できものができたりと、歯ぐきに現れる症状はさまざまです。
痛みを伴うもの、そうでないものなど症状によっても違ってきます。
自分の症状がどのようなものに当てはまるのかが御理解できたら、ご自身の判断だけでなく、必ず歯科医院を受診してください。
症状が似ているというだけで、実際の疾患とは異なる場合もあります。長期間放置してしまうと重大な疾患の場合もあります。まずは歯科医院へ相談することをおすすめします。