歯磨きをすると出血しておどろいた方も多いのではないでしょうか。なぜ歯磨きをすると歯肉から血が出るのでしょうか。また歯肉が赤く腫れているため、痛くてよく磨けない時はありませんか?
なぜそのような症状がでるのか、その時にどうしたら良いか、自宅でできる対応もまとめてみます。
この記事のポイント
- 出血の原因がわかる
- 出血を止める4つの方法がわかる
- 歯肉の炎症以外で出血が止まらない原因がわかる
出血の原因は歯垢(プラーク)
歯肉に炎症があるサインとして出血や腫れがあります。そんな症状が出ているあなたは歯肉炎になっているかもしれません!歯肉炎の主な原因として挙げられるのが、歯垢(プラーク)です。
歯垢は鏡で確認できる
鏡で自分の歯を見たときに、歯に白くもこもこした塊があるならそれがプラークになります。明らかに食べかすとは違う形態をしています。
爪楊枝や爪で歯垢をとってみる
歯と歯肉の境目や歯と歯の間を爪楊枝や爪でなぞってみて下さい。柔らかい白い塊がついてきたら、プラークの可能性が高いです。
臭いを嗅いでみる
爪楊枝などでとったプラークを嗅いでみると、食べた物ではない臭いがします。プラークの中の細菌がタンパク質を分解してガスが発生しているので発酵食品のようなきつい臭いがします。例えるならば、納豆やチーズのような臭いです。
歯ブラシで確認
ブラシに歯磨き粉をつけずに磨くと白い粘着物が毛先についてきます。磨く前に歯を舌で触った時にざらざらしていたり、ぬるついている所にプラークがついています。ブラシで磨いた後はツルツルになっているはずです。
歯科医院で顕微鏡で確認
プラークを採取し顕微鏡で見てみると、多くの細菌が映し出されます。死んでいる細菌も生きている細菌もいます。顕微鏡の検査は、医院によって取り扱いは異なります。また、保険診療の場合と自費診療の場合はありますので、かかりつけの歯科医院に確認してみてください。
出血を止める4つの方法
出血をとめて、歯肉炎を改善させるために自宅でできる簡単な方法は、細菌の塊である歯垢(プラーク)をきちんと取り除くことです。プラークが確認できたらプラークを取り除き、出血を止めるための歯を磨く4つのポイントについてまとめてみます。
歯ブラシを斜めにあてる
歯ブラシの毛先を、歯と歯肉の境目に斜め45度であててみましょう。
バス法という磨き方の方法で大きく動かすのではなく、歯肉の中に毛先が当たるように細かく1本ずつみがくように意識してください。
磨く時の力は弱めにする
歯ブラシの毛先がしなっていると力が入りすぎているので、優しい力で磨いてください。磨く時に、鉛筆を持つように歯ブラシを持って磨くと、適度な力で磨くことができます。
歯ブラシの毛の硬さはふつうを選ぶ
歯肉から出血しているとつい当たりの優しいやわらかめを選びがちですが、やわらかすぎても汚れはとれません。市販のものでは、パッケージに「かため」「ふつう」「やわらかめ」が書いてありますがメーカーによっても硬さが異なるので迷ったら毛先の長いものを選ぶとよいでしょう。
DENT.EXシステマ 44M
テーパード加工で歯肉を傷つけることなく、汚れを取り除くことができます。
痛みや出血はなく、少し歯肉が腫れている程度の方におすすめの歯ブラシです。
販売:株式会社ライオン
商品:DENT.EXシステマ (44M)
価格:299円
〈歯科専売〉
ライカブル(ミニ)
角度や動かし方を意識しなくても、特殊テーパードの毛先が、歯間部や歯頸部に入り込んでプラークを除去してくれます。
特殊テーパードの毛先が歯肉にやさしく当たり、歯面のブラッシングと同時に歯肉をやさしくマッサージできます。一度使うとやみつきになる。歯科衛生士にも人気の歯ブラシです。
販売:株式会社オーラルケア
商品:ライカブル(ミニ)
価格:420円
夜寝る前にしっかり磨く
寝ている間は極端に唾液の分泌が減り、細菌が一気に繁殖します。磨かないまま寝てしまうと、細菌増殖により炎症がひどくなるため、できるだけ夜寝る前に磨いた方が炎症は改善していきます。
出血は全部出し切った方がいい?
歯磨きの時、出血する場合は、とにかく血をだした方がいいと言われたことがある人もいるかもしれません。血を出していい時とそうでない時があります。
血を出しきってもよい時
歯肉からの血を出しきってもよい時は、歯科医院で歯石と言われる汚れをきちんと取り除いた後です。歯石を取り除く前にはその周りに、循環していない淀んだ血液が溜まっている状態です。歯石を取り除いた後は、淀んだ血を出し切ることで、健康な歯肉を取り戻すことができます。
血を出しきる行為を控えたい時
血を出しきる状態ではないのは、まだ歯の周りに歯石が付いている状態です。淀んだ血が溜まる原因となっている歯石を取らない状態で、血を出しきるような歯磨きをしてしまうと、炎症している歯肉がただれ、かえって炎症が悪化したり、細菌に感染したりする場合があります。
また歯ブラシが原因で歯肉が傷ついてしまって出血している場合も、触らず治るのを待ちましょう。
(歯肉のただれ炎症悪化の様子)
お口の状態は歯科医院に相談しましょう
今、自分のお口の中の状態がどういう状態なのかで、対応が違いますので、まずは、歯医者に相談してみてください。歯肉炎を改善させるために自宅でできる簡単な方法は、細菌の塊である歯垢(プラーク)をきちんと取り除くことです。
歯肉の炎症以外で出血が止まらない原因
まずは、歯肉から出血しているのは、どのくらいの期間出血しているのかで状況は違います。もし、2週間以上出血が続いているようでしたら、すぐにかかりつけの歯科医院へ相談しましょう。その他、歯肉から出血する時は、歯肉の炎症以外の原因も考えらえます。歯肉の出血に伴う病気もありますので、内科を受診することもおすすめします。
薬の副作用
高血圧の薬やてんかんの薬、免疫抑制剤を長期服用されていると、歯肉が腫れやすく出血しやすい状態にあります。
全身疾患などの病気
糖尿病
糖尿病が悪化すると歯周病が悪化する。歯周病が悪化すると糖尿病も悪化することが、医学の研究でも解明されてきました。糖尿病と歯周病は密接な関係にあると言われています。
HIV
歯周病菌が増殖の過程で大量に作り出す酪酸が潜伏しているHIVを活性化させエイズに発症させる危険性があると言われています。
血友病
血液が固まるのに必要な成分が欠乏しているために起こる病気であり、歯肉からの出血も、一度出血すると止まりにくくなる傾向にあります。
妊娠性の出血
妊娠期とホルモンバランスの影響で歯肉に炎症が起こりやすくなったり、妊娠初期のつわりが原因で歯磨きをすることが億劫になる時期に歯肉の炎症がおこりやすくなります。
また、妊娠期は食事の回数が増える方も多く、その分、お口の中には、汚れも溜まりやすくなり、虫歯や歯周病(歯肉の腫れや出血)の症状がでる妊婦の方もいらっしゃいます。
こまめに、歯磨きを行うことで、炎症は予防することができます。
歯科医院では、妊娠時期の歯磨方法や、食生活と虫歯予防についてもくわしくお話しします。妊娠期こそ、かかりつけの医院へ行って、妊娠期のアドバイスを聞いてみてください。
まとめ
出血するというのは、体の炎症のSOSサインです。
歯磨きをすると血がでる原因がプラークの場合は、歯の磨き方歯ブラシの選び方のちょっとした工夫で改善されることがあります。
出血している原因は様々ですが、歯科医院へ2年以上行っていないという方は、歯肉炎になっている可能性が高いです。
出血が頻繁におこるようなら、まずは歯科医院へ通い、検査をしてもらうことをお勧めします。