虫歯予防に効果的だと言われている「キシリトール」を食べすぎると下痢する、と聞いて不安に思う方も多いのではないでしょうか。商品の注意書きの部分に「一度にたくさん食べると、お腹がゆるくなることがあります」と書かれています。
「キシリトール」食べるだけでむし歯のリスクが下がるなんて嬉しいけれど、お腹が緩くなるのは心配ですよね。
そこで今回はなぜキシリトールを食べると下痢をするのか、どれくらいの量を食べれば良いのかを詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- キシリトールを摂取すると下痢になる原因がわかる
- キシリトールガムの効果的な食べ方がわかる
- キシリトールの効果がわかる
キシリトールとは
キシリトールは天然素材の白樺や樫の木、トウモロコシの芯を原料として作られ、ソルビトールやマルチトールと同じ糖アルコールと呼ばれる炭水化物の仲間です。
糖アルコールは甘味料として使用されます。
それはお砂糖と同じくらいの甘さがあり、カロリーは砂糖の25%ほどといわれています。口の中で溶ける時に熱の吸収力が高いので、スーッとした冷たい感覚があります。
キシリトールからは酸ができず、唾液の分泌を刺激して酸を中和することでむし歯の原因にならないといわれています。
今まで日本を含む世界各国でキシリトールのむし歯予防に対する研究が行われ、予防効果が認められています。
キシリトールを摂取すると下痢する原因
キシリトール(糖アルコール)は小腸で消化吸収されにくいという特徴があります。
そのため吸収されなかった糖アルコールを消化しようとして腸管壁から水分を引き出し、大腸の中の水分が増えるため下痢をしやすくなると言われています。多量の摂取や身体の体質にあってないと起こる現象です。これらの現象は一過性のものといわれています。
どのくらいの量なら大丈夫か
どのくらいの量で下痢をするのか
牛乳を飲むとお腹が緩くなってしまうという方がいるのと同じで、個人差があるのでどのくらいの量だと大丈夫という目安はありません。
個人差でキシリトールガム1粒でお腹が緩くなってしまう人もいれば、何粒食べても大丈夫という人もいます。
ただ1日のキシリトール摂取量の目安は成人で5~10g、幼児・小児で1.5~3gといわれていますが、お腹が弱い方やお子さま、高齢者は少しの量から摂取してみてください。
そして問題なければ、むし歯予防に効果的な量を摂取するようにしましょう。
摂取上限について
1983年JECFA(FAOとWHOの食品添加物専門家共同委員会)は、キシリトールの「1日の許容摂取量」に関しては「特定せず」としました。それはキシリトールは1日の摂取量に特別な制限は不必要であるという食品であることです。
1986年FASEB(Federation of American Societies for Experimental Biology)の専門研究班による報告においても、キシリトールの安全性に重大な懸念はない、と評価されています。
キシリトールの安全性について
日本では1997年4月に食品添加物として認可されました。その10年以上前から点滴の輸液成分として使用されるなど、キシリトールは人体に安全なものとして知られていました。
実は人間の身体の中でも、肝臓で1日あたり約15gのキシリトールが作られていて、私たちの身体にも身近な存在となります。
キシリトールガムの効果的な食べ方
コンビニやスーパー、ドラッグストアなどでは様々なキシリトールガムが販売されています。
むし歯予防を発揮するためのキシリトールガムの選び方・食べ方をご紹介します。
虫歯予防に効果的なキシリトールガムの選び方
虫歯予防に効果を得るためには製品に含まれているキシリトールの量が、その製品中の50%以上であることが必要だと言われています。
パッケージの成分表示の項目を確認するようにしてください。
キシリトールの配合量が明記されていない場合は、‟炭水化物(糖質)の量“と‟キシリトールの量”が近いものを選びましょう。
また、「糖類」が0gであることも選ぶ時の大切なポイントです。
おすすめはキシリトールが100%配合されている歯科専用キシリトールガムです。歯科専用のキシリトールガムについては【歯科専用のキシリトールガムは効果大/市販品との違いは?】をご覧ください。
株式会社オーラルケア
歯科専用キシリトールガム
販売価格:約1400円・90粒入り
虫歯予防に効果的なキシリトールガムの食べ方
むし歯予防効果を最大限引き出すキシリトールガムの噛み方をご紹介します。
1日に5~10gの量を摂取する
歯科専用キシリトールガムには1粒につきキシリトールが1.3g配合されているので、成人の方は1日4~8粒を目安に噛みましょう。
市販されているキシリトールガムの場合は、パッケージに記載されているキシリトールの量を確認して必要な量を噛みましょう。
1日に3回以上に分けて食べる
一度にたくさん食べるよりも何回かに分けて食べたほうがむし歯予防に効果的です。
おすすめのタイミングは朝食後・昼食後・間食後・夕食後。30分以内が効果的です。
食後のお口の中に残った糖分や酸を洗い流し、歯の再石灰化を促すことができます。
その他にキシリトールが100%配合されているガムであれば就寝前に噛むのもおすすめです。
むし歯の原因となるミュータンス菌の活動を弱め、歯垢をつきにくくしてくれます。
毎日続けることも大切です。
味がなくなっても5~15分噛む
噛み始めて最初に出てくる甘い味がキシリトールです。
それをすぐに飲み込んでしまうのではなく、お口の中で広がるように少しためながら噛むのがポイントです。
味がなくなってもだ液の分泌を促進するために、10~15分噛みましょう。
噛むことで自立神経のバランスも整える効果も期待できます。
キシリトールの効果
キシリトールのむし歯予防効果は大きく分けて2つあります。
むし歯の原因にならない
糖アルコールと呼ばれるキシリトールはむし歯の原因になりません。むし歯の原因菌であるミュータンス菌に酸を作らせないからです。
同じ糖アルコールと呼ばれるソルビトールやマルチトールからはプラーク中で酸ができますが、キシリトールからは酸はまったくできません。
また砂糖と同じくらい甘みが強いので、お口の中に入れると味覚が刺激され、だ液の分泌が促進され歯の再石灰化を助けます。
むし歯の発生と進行を防ぐ
むし歯の発生と歯進行を防ぐのはキシリトールだけの効果です。
また砂糖と同じくらい甘みが強いので、お口の中に入れると味覚が刺激され、だ液の分泌が促進され歯の再石灰化を助けます。
キシリトールを摂ることでプラークの性質が変わります。プラークの量が減少し、歯の表面につきづらく、はがれやすくなります。そして歯の再石灰化を促し、歯を固くします。
効果的にキシリトールガムを摂取し始めて2週間ほどでプラークがつきづらくなり、3か月でミュータンス菌に対する効果が現れ、むし歯になりにくいお口の環境にすることができると言われています。
ただ、キシリトールがあればそれだけでむし歯を防げるというわけではありません。
歯をむし歯から守るためにはていねいに歯を磨き、フッ素配合の歯磨き剤を使うことが効果的です。キシリトールは毎日の習慣にプラスすることでむし歯予防の効果を上げてくれます。
まとめ
むし歯予防にはキシリトールガムが効果的だけれど、お腹が緩くなったり、下痢になってしまう方がいるかもしれません。
もしもキシリトールガムを噛み始めるのが不安な方は最初は1日1回にして様子をみて、少しの量(1日2g程度)から始めてみましょう。
1週間ほど問題なければむし歯予防に効果的な量の摂取をおすすめします。