歯肉が下がる!健康な状態へ戻すため治療法と予防法

あれ?歯肉が下がってる?と鏡を見て急に不安になる方も多いのではないでしょうか。

人によっては歯が伸びた様に感じたり、歯肉が下がると急に老けたように感じる方もいるのではないでしょうか。見た目の問題だけでなく、歯肉が下がると知覚過敏や虫歯になりやすくなり新たな問題にもつながります。

今回は下がった歯肉を戻す幾つかの治療法と予防法についてまとめましたので参考にしてください。

この記事のポイント

  • 歯肉が下がる原因がわかる
  • 歯磨きで歯肉が下がるのを予防する方法がわかる
  • 下がった歯肉を元に戻す方法がわかる

目次

歯肉下がりとは?自分の歯肉をチェック!

最近、歯肉が痩せた、または、歯が伸びたような感じがする人は「歯肉が下がっている」状態です。
歯肉が下がる原因はさまざまですが、まずは今ご自身の歯肉の状態はどうでしょうか?チェックしてみましょう。

□ 前歯の歯と歯の間に隙間ができている
□ 歯と歯肉の境目をみると、歯の色が違う
□ 歯の隙間があり、喋るときに空気が抜けていく感じがある
□ 「さしすせそ」が発音しにくい
□ 最近、冷たいものがしみやすい
□ 食事のあと、必ず食べ物が歯の間に詰まってしまう

2つくらいあてはまることがあれば、あなたの歯肉は下がっている可能性があります。

歯肉が下がる原因については【歯肉が下がる原因と対処法について徹底解説!】もご覧ください。

歯肉が下がる原因

歯周病によるもの

歯肉が下がる原因で、一番多いのは歯周病です。
歯周病とは細菌感染症で骨が歯周病菌に感染してしまい骨が溶けていく病気です。
骨がなくなると同時に、歯肉も下がっていきます。
40代の80%の方は歯周病になっているので殆どの方は歯周病による歯肉の退縮です。

歯周病は虫歯と違い、自覚症状がなく進んでいってしまう病気なので定期的に歯科で検診やクリーニングを受けることが大切です。

噛み合わせによるもの

噛み合わせの調子が悪い方や歯軋りをする方は、歯肉が下がりやすいことが言われています。

これは、異常な噛み合わせにより、歯を支えている歯の組織(主に骨)に過度に力が加わることが原因だと言われています。
過度な力が加わり続けることで、歯を支えている組織に負担がかかり、骨の周りに炎症が起こると、歯を支えている歯肉にも影響がでてきます。
この状態が続くと結果として歯肉が下がると言われています。

症状を少しでも感じている人は、歯科医院へ相談しましょう。

加齢によるもの

年齢によって歯肉が下がってしまうと言われていますが、殆どの場合は年齢によるものではなく、それまでの生活習慣に由来しているものと考えられています。
高齢者の方でも元気で健康な歯肉の方はたくさんいらっしゃいます。

間違った歯磨きによるもの

歯肉下がりの多くは、歯磨き由来のものが多いです。
一番の原因は、歯磨きのときにごしごしと強く磨きすぎていることが歯肉下がりの原因です。
その他に、歯ブラシの毛の硬さが硬いものを好んで使用している場合も歯肉が下がりやすいです。
自分にあった歯ブラシ選びが大切です。ぜひ歯科衛生士に相談してみましょう。

歯並びによるもの

歯並びの悪い場所は、どうしても磨きにくく歯肉に炎症が起こりやすいです。
炎症が長期的に続いていると、歯周病の原因となり、歯肉にも影響がでてきます。
歯並びが悪くてもきちんと噛み合わせていて、歯磨きをしていれば、歯肉が下がることを防ぐこともできますので、安心してください。

インプラントや差し歯によるもの

インプラントや差し歯を入れたばかりなのに歯肉が下がってきている。
歯磨きは気をつけて磨いている。歯科医の指示とおりマウスガードも装着しているのに歯肉が下がってしまう…。
そんな症状の場合は、歯肉と歯を支えている組織の割合が生態的に不一致であることが考えられます。
一概には言えませんので、気になる症状がある方は歯科医院へ相談することをすすめします。

インプラントや差し歯を入れたからといって歯肉がさがることはありません。

歯肉が薄い

歯肉が薄いだけで歯肉がさがることはありません。
ただし、通常の歯肉の厚みがない人が歯磨き時、ごしごしと強く磨いていると、歯肉がさがるリスクは非常に高いです。
歯肉が薄いと言われたことがある方は、特に歯磨き時の力加減を意識してみてください。

歯磨きでの歯肉下がりを予防する方法

歯磨きの仕方を見直しましょう

歯肉が下がるの原因の多くは、歯周病や歯磨き時の過剰なブラシ圧です。
歯周病の予防はブラッシングが大事です。歯肉やお口に合った歯ブラシを
選択して、使用しましょう。

歯肉下がりが気になる人へおすすめの歯ブラシ

販売:株式会オーラルケア
商品:ペンフィット

歯肉下がりが気になる人、歯磨き圧が強い人むけに歯科衛生士が開発した歯ブラシ。
「ペングリップで磨こう!」。それがペンフィットです。
ソフトなブラシ圧で磨けるペングリップ仕様の歯ブラシです。
ブラシの先端を使って掃くように、そんなやさしい磨き方ができる最適な歯ブラシです。

食生活

歯肉にも栄養素は欠かせません。歯肉の再生や健康なピンク色の状態を維持するためには、
ビタミンCやビタミンEを積極的に取りましょう。
歯磨きジェルにもビタミンCやEが配合されているものもありますので、
歯肉下がりが気になる人は、栄養のバランスをとることで健康な歯肉を取り戻しましょう。

下がった歯肉を戻す方法

少しの歯肉下がりであれば、セルフケアを気をつければ歯肉が戻ることもあります。
その場合のほとんどが歯磨きによる磨きすぎが原因。
強くごしごしと歯を磨く人は、同時に歯肉も削れていることが多いです。
歯磨きの時、力を抜いて磨くだけで、歯肉が戻ってくる場合もあります。

症状が進行している場合の歯肉再生の治療法にはいくつか種類があります。
通常、歯周病治療には健康保険が適応されますが、歯肉や骨の再生治療に関しては健康保険が適応されません。
費用はクリニックにより異なり、歯肉再生治療は医師の腕によっても結果が左右されますので、複数のクリニックでカウンセリングを受けてから検討するようにしましょう。

ヒアルロン酸治療

歯の間の歯肉が下がってしまった場合、ヒアルロン酸を注射することで元の状態に戻す治療法です。

日本では、ドイツ製の歯科専用のヒアルロン酸が使用されています。
ヒアルロン酸はもともと生体がもっている成分で、美容皮膚科ではシミやシワに応用されている安全性の高い成分です。

■ 費用相場
費用は、1回1ml 50,000円からで部位や範囲によってことなります。

■ メリット
ヒアルロン酸注入時には麻酔をしますので、痛みはなく、短時間で施術は終わります。
その内容を3週間おきに3回行うのを繰り返すことで徐々に歯肉が戻ってきます。

■ デメリット
歯肉に炎症がある人には使用できません。事前に歯周治療を行うことが必要です。
また、注入後、必ず歯肉が戻るとは限りません。個人差があることも理解が必要です。
1回の施術は短時間で終わりますが、歯肉が戻るのは、個人差があり3週間から数ヶ月かかる場合もあります。

■ 注意点
歯周病の方や、 歯肉に炎症のある方には使用できません。
3週間おきに3回継続して行うことで効果が期待できますので、途中で中断すると効果は期待できません。

歯槽骨を再生させる方法(GTR法)

歯の組織の周りの細菌をきれいに除去し、組織を清潔な状態にして、生体を再施に導く治療方法です。

歯周組織再生誘導療法と言われるスェーデンで成功症例が報告された治療法で、日本でも歯周病専門医などが積極的行っている治療法です。
人工骨を使用してさらに再生力を高めることもあります。

■ 費用相場
10万から30万で、手術に付随して歯肉や骨の再生を促す薬剤を併用する場合によっても費用は異なります。

■ 期間
手術自体は2時間程度で終わりますが、骨が定着するまでに4ヶ月から6ヶ月かかるため、最終的な状態には、6ヶ月から1年ほどの期間を目安にするとよいでしょう。

■ メリット
骨から再生していくので、骨の定着がよければ歯肉も綺麗に再生されます。

■ デメリット
骨の定着量が少ない場合は、歯肉の再生も期待通りにいかないケースもあります。骨の再生を行うため期間が長いこともデメリットです

■ 注意点
専門的な治療のため、歯周病専門医の医院へ行かれることをおすすめします。

エムドゲイン法

エムドゲイン法は、GTR法と併用することで組織の再生を誘導する方法です。
歯の粘膜組織と体の骨の組織とのスペースを確保し、それぞれの生体が再生しやすい環境を作ります。
エムドゲインはエナメルマトリックスタンパクを用いる事によりセメント質を誘導する製品で歯根膜由来のセメント質を新生させるのに用いられる方法です。

4-3.歯肉を移植する方法 CTG(結合組織移植術)FGG(遊離歯肉移植術)

歯肉が下がっている部位に、他の歯肉の組織をもってきて、移植する方法です。
歯肉の組織の持ってくる場所によって2種類の方法があります。組織の状態や歯肉の下がり具合によって歯科医師が診断を行います。

■ 費用相場
50,000円から150,000円、範囲によってもことなります。

■ 期間
手術自体は2時間程度で終わりますが、歯肉が定着するまでは2ヶ月から6ヶ月かかる場合があります。

■ メリット
自分のお口の中の組織をもってくるので、定着もよく審美的にも改善されます。

■ デメリット
組織の色の違いがでる場合や、移植後も退縮する場合もあります。

■ 注意点
専門的な治療のため、歯周病専門医の医院へ行かれることをおすすめします。

そのままにしていたらどうなる?

歯肉下がりをそのままにしておくと、冷たいものがしみる、熱いものがしみると症状が悪化していきます。(知覚過敏)

さらに放置していると、痛みを感じるようになり、歯の神経を取る処置をしなければいけない状態まで悪化することもあります。

まとめ

歯肉が下がって困っている方には、さまざまな原因がありその改善方法がありますので、自分にあった方法を歯科医師と相談のもと決めてください。

特殊な方法については、歯周病専門医のいる歯科医院へ相談することをおすすめします。

ちょっとした歯肉下がりや、歯磨きが原因のものは、ご自身のセルフケアでもとの状態に戻ることもありますので、普段の歯磨きを見直してみてくださいね。

記事監修

小野澤 彰/歯科医師

小野澤 彰

歯科医師・AOBIデンタルクリニック院長

  • 1996年 東京歯科大学卒業
  • 1996~1998年 東京医科歯科大学研修医
  • 1998~2002年 都内歯科医院勤務
  • 2002年4月1日 歯科オノザワ開院
  • 2024年5月1日 AOBIデンタルクリニックに改称

詳細プロフィール

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